ステラ薫子のシンプル・タロット
画:宝永たかこ 監修:ステラ薫子
発行:扶桑社 2003年12月10日 ISBN4-594-04273-2
この「死神」は、案外、見たことのある人が多いのでは、と思います。雑誌「恋運暦」の星座別月間占いのコーナーで、監修者のステラ薫子女史が用いて掲載されているデッキなので。しかも、作画担当者の宝永たかこ女史の絵はお洒落な絵本や童話の挿し絵のように穏やかで、どこか懐かしい感じがします。雑誌の人気コーナーを支えている、大きな柱の一つです。
そんなデッキの「死神」は、骸骨が聖職者の衣を纏い、右手に砂時計、左手に大鎌を持ち、堂々と立っています。蝶や蛾が飛び、アンモナイトの殻が階段にあり、ワイシャツに背広を着込んでいる男性らしき左手が見える場所は、窓も柱も幾何学的に線が伸び、「死神」の背景が現実ではないことを私達に知らしめています。勿論、アンモナイトの殻のある階段も、よく見るまでもなく、壁に溶け込んだように半透明です。きっと、この「死神」は太古から命の終焉を刈り続け、あらゆる時代を見届けてきたのでしょう。幻想的な背景は、「死神」に詰まっている時代と時間の象徴なのかもしれません。衣で頭と両手以外の部分の骨を見せないのは、本能的に命を刈る存在としてではなく、時の流れの一角を担う存在としての理性を表現しているようにも見えます。そう念じながら見つめると、大鎌の刃に血が滴っていないことに、少なからず安堵できるのですが、どうでしょう?
蛇足ですが、このデッキが発売された後、フルデッキの要望が多かったのか、前述の雑誌の付録としてフルデッキ版が出ました。それらの号の売れ行きが良かったことからも、このデッキに対するタロット愛好家の好印象が判りました。本当に、馴染みやすい好いデッキです。
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