●TAROT Book & Cards監修:アレクサンドリア木星王 作画:中島靖侃
出版:大陸書房 発行:昭和55年4月13日第10版 ISBNの記載無し
自分の殻に閉じ籠ってしまった中学一年の時、救いの手を差し伸べてくれた同級生の女の子が見せてくれたのが、このデッキでした。「綺麗でしょ? 世界には、こういう綺麗な物もあるんだよ?」と教えてくれたことを、今でも覚えています。解説書を借りて読んでいるうちに同じ物が欲しくなり、両親にねだって購入しました。
「愛蔵版」と銘打たれた書籍だけに化粧箱に入り、カードケースには「TAROT」と金で印刷されており、とても貴重な宝物を入手した思いでした。当然、解説書は繰り返し読み、何度も何度も占いました。カラフルで、神秘的な象徴を鏤めたウエイト版のデザインは、とても心に響きます。やがて、紙製のカードは傷み、捲れてきてしまい、使用に耐えなくなったのが残念でなりません。でも、今でも「大切な愛人」として堂々と本棚に鎮座し、「ウエイト版の精神を忘れないように」と告げてきます。
この書籍は絶版です。何しろ、大陸書房が倒産しましたから。それを聞いた時には、「頼むから、在庫品(のこの書籍)を売ってからにしてくれ!」と嘆いたものです。
「TAROT Bood & Cards」で木星王氏に感銘を受けた私は、じつは氏の「イーチン・タロット占い」という書籍も購入しました。これはじつはタロットではなく、易占いをカード化したものだったため、落胆しました。それでも酷使しましたし、易の面白さも感じました。が、ケースを紛失し、保存しづらくなってしまったのです。現在は、カードは封筒に入れて手元に置き、解説書は実家の本棚の片隅で眠っています。発掘しようとしましたが、実家の本棚はあまり状態がよろしくないんですよね。陰干ししてないから紙魚も多かろうと思うと、「愛人」専用スペースに移せません…。
「TAROT Book & Cards」についての付記:2008年1月25日
「タロット13番地」の原稿を書く際に、改めてこの書籍を開き、「死神」だけですがカードをじっくり見つめました。ついでに、購入当時の自分が抱いた感想も、じっくり振り返ってみました。
「わ、若かったなぁ……」
この一言に尽きます。
上述のレビューっぽい文章にも当てはまりますが、「一番ポピュラーなタロット」と「一番優れたタロット」とを混同するという未熟さが、とてつもなく恥ずかしいです。動物は生まれて初めて見た生き物を母親だと思い込むとか。私のタロット観も、これに近いものがあります。初めて手にしたデッキと解説書というだけで、「ここに書いてあることは真理だ」と思い込み、長らくウエイト版だけを意識し続けてきたのですから。
三十路を卒業する歳になって、学生時代、会社員時代、専業主婦と母親を同時に始めてから今も続く鬱症状との付き合いを経て、ちょっとだけ主観が変わりましたし、ぼんやりと主観と客観の違いが見え始めてきました。そんな未熟な人間から見てさらに未熟に感じる自分の文章に、ひたすら恥ずかしさを感じています。
それでも、この書籍はまだ手を伸ばせばすぐに出せる場所に置いています。未だに内容全部を理解できていませんし、何より「最初に選んだタロット」が「私自身のタロット観の規準」となっているからです。「監修者が決めた絶対規準」でもなければ「世界中のタロットの規準」でもなく、「私自身が選んだ規準」です。他のタロットを楽しんだりレビューっぽい文章を書いたりする時に、監修者がどんなデッキを参考にした可能性があるか、どんな問題を占うのに適しているか、絵としてどんな人が好むかなど、読んでくださる人に伝わりやすい言葉を選びやすくする手がかりになるのです。
しかし、現実としては、このデッキではなく「Universal Waite Tarot」のほうが規準にしやすいです。理由は、上欄にもありますが、この書籍が絶版となったためです。大陸書房という出版社ごと失われてしまいましたから、復刻版も期待できません。また、解説書の前半部分にタロットの歴史や魔術結社などの特殊な内容が掲載されているのですが、監修者にとっても若い頃の論文ですし、思い入れも強いため、現時点のタロットに関する情報と異なる部分も少なくありません。
そんなわけで、本来ならばこのページの記述全体を改訂するべきところですが、さすがに全デッキ分を書き直していては心身ともに負担が大きすぎますので、この欄のように「付記」という形でご勘弁いただきたく思います。
(「TAROT Book & Cards」についての付記:2008年1月25日ここまで)
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●秘法タロットカード
監修:沖門土、海界めい 作画:ニイクラ和美
出版:実業之日本社 発行:昭和59年12月22日第3版 ISBNの記載無し
(2008年1月30日現在、新装丁版と思われる
「デラックス版 秘法タロットカード」ISBN-13:978-4408393711が刊行されています)
「イーチン・タロット占い」によりタロット以外の占いカードの存在を知った私は、二度と間違わないようにカード枚数を確認するようになりました。心がけるようになって最初に書店で見つけたのが、このデッキです。
銀色の箱につられて手に取りましたが、カードそのものはモノクロと知り、購入をかなり迷いました。私にとっての「タロット」は、美しく彩られたものだったんですね。しかし、「ギリシャ神話調」という叩き文句を見て、レジへ…。
解説書を読み始めた途端、気に入りました。「モノクロだからってどうだって言うの?」てな感じです。ギリシャ神話の神々を組み込んでウエイト版の象徴の代用とし、シャープなラインとシンプルなデザインに徹底した点に、ポリシーを感じます。神話好きな中学生でしたし、神様が描かれているので、占いに使うだけでなく、気に入ったカードをお守りにし、プラスチックケース状の下敷きに入れて通学していました。高校に入っても続けてましたから、相当気に入っていたことになりますね。ただ、このカード、色移りするんですよ。持ち歩いたものほど両面が掠れてしまい、伏せていてもどのカードか判るようになってしまったんです。以来、きちんとケースに戻し、休憩してもらってます。
この書籍は、絶版になったとばかり思っていましたが、最近、少し異なった名称で販売されていることを知りました。が、やはり色落ちするようです。
「秘法タロットカード」についての付記:2008年1月30日
購入した中学時代から自分で働いて稼いだお金でタロットを購入するようになるまでの随分と長い間、私は「日本におけるタロット研究者の草分けはA・木星王氏」と当たり前のように思い込んでいました。ですから、このデッキを買った時、上欄にあるおりの好感も抱きましたが、同時に「でも、所詮はウエイト版を歪めたデッキだよなぁ」と軽んじてもいました。今こうして振り返りますと、非常に恐ろしくて身が竦みます。
昭和50年代に「星占い」「易占い」「カード占い」などの名称で雑誌や新聞の占い欄を担当されていた方々は、時代背景のためにスポットライトが当たることは稀でしたが、どなたも様々な神秘学を既に研究されていました。そうでなければ、タロットの入門書を発刊できるはずがなかったのです。
それなのに…、それなのに…、どーして軽んじることができるかなぁ、過去の自分っ!?
…大変失礼いたしました。叫びたくなるんです、時が経てば経つほど。
失態を自ら暴露してサッパリしたところで、気を取り直しますね。
このデッキの監修者のお二人はご夫婦だそうで、近年に発刊された別の書籍でもご一緒に監修されています。また、作画担当の女史も同様にお二人の書籍のデッキの作画を担当されています。つまり、このお三方は四半世紀にわたってタッグ(?)を組まれているわけです。
これは物凄い実績です。どんな人だって、10年も経てば容姿も考え方も変わります。目指す場所、必要だと考える物、大切に保管しておきたい物、他人に知ってほしいと願う自分自身の理想など、心の深いところまで理解し合っていなければ、深層心理に働きかけるタロットカードの監修や作画を何度も行うことは困難なはず。それをこなしていて、しかも著述にそれを誇る文面が無いというのは、物凄いことです。まるで過不足なくシンプルに描かれたデッキの如き立ち姿ではありませんか。
出版社も大袈裟な装丁や帯をつけず、良心的な価格で販売していて、私個人はとてもありがたく思っています。特に、大陸書房が倒産してからの数年間は、様々な種類の占いの本を世に送り出してくれて、楽しませていただきました。10代の女の子を主なターゲットにした占い雑誌も、あいにく2007年に廃刊となりましたが、長らく占い関係の礎であり続けていました。それでもタロットの入門書に関しては、装丁を改めて復刻するなど、門戸を広げる働きかけを続けてくださっています。
こうした背景があると、いっそう「このデッキも面白いよ」とお勧めしやすくて、とてもありがたいですし、とてもとても嬉しくなります。
なお、装丁を改めて復刻されたデッキは、私は購入していません。色落ちに関する記述が上欄にありますが、これはAmazon.co.jpに掲載されている他のユーザー氏のレビューを読んだ上で記したものです。また、その復刻版(で良いのかな?)のISBNを上欄のデータ部分の最後に書き足しました。どなたかの参考になれば幸いです。
(「秘法タロットカード」についての付記:2008年1月30日ここまで)
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●ジプシー占いの秘密
監修:南城武 画:荒牧幸子
出版:二見書房 発行:昭和57年7月15日第5版 ISBNの記載無し
タロットの起源がジプシーにあると知り、カード枚数が78枚でないこの書籍にも興味を持つようになりました。しかも、「秘法タロットカード」によりモノクロのデザインにも魅力を感じるようになりましたから、2色刷りも気になりませんでした。
で、肝心なデッキ内容はと言えば、タロットから大アルカナを取り除き、棒や剣といった小アルカナ各スートの象徴をトランプのマークに変えたカードであり、描かれている絵も独自のものです。画風も切り絵か版画のようで線が太く、どこか「土臭さ」があります。「本当にこれをジプシーが使っていたのかなぁ…」と戸惑いつつも、何度も占いに使用しました。不思議ですねぇ。使っているうちに、「土臭さ」が「力強さ」に感じられ、愛着が湧いてくるんですから。残念なことに、色移りこそしないものの、縁から印刷が掠れ始めてしまいまして、完全に使えなくなる前に棚で休んでもらうことにしました。
この書籍も一時は見かけなくなりましたが、再び販売されるようになったみたいです。外箱のデザインが多少変更されてはいますが、多分中身は同じだろうと思い、見かけても購入はしていません。
「ジプシー占いの秘密」についての付記:2008年4月11日
上記の自分が書いた文章を読むと、時代が変わったなぁって思います。どうしてタロットからいきなり他のカード占いに走るかなぁ、自分(苦笑)。まぁ、今年(2008年)の秋に三十路を終えるオバハンの中学・高校時代の刊行物と、それに対する感想ですから、そりゃあ「前時代」ではありますけどね。それを差っ引き、文章を書いたのは21世紀に入ってからということだけ考えても、古臭さは否めません。「文章が短いもんねぇ」っていうことではありませんよ、念のため。
そもそも「ジプシー」という名称が堂々と使用されているのが、「前時代的」です。詳細は単語や語源に関する書籍やサイトの説明に委ねますが、「ジプシー」と呼ばれる人達にとってこの言葉は差別的、あるいは侮蔑されているという認識を抱く単語であり、それを公的な場で主張し、多くの国々に認められています。故に、その主張と認識が広まってからは、呼ばれていた人達が自分自身と民族を呼ぶ時に用いている「ロマ」という言葉に、替わっています。長くて解りにくい文章になりましたが、そんなわけで書籍名に「ジプシー」とあることで「古臭い」という印象に繋がるのです。また、一度は再販されたもののすぐに見かけなくなった理由も、単語に関する事由にあるのかもしれません。
だからって、中身まで古臭いわけではありませんよ。それに、タロットと繋がる部分がまったく無いわけでもありませんし、絵を楽しむだけでも厭きのこない魅力があります。
個人的に好きなカードは、ハートのペイジです。
タロットの小アルカナでは、聖杯(カップ)のペイジに相当します。ウエイト版なら、若い兄ちゃんが、手にしたカップから顔を出している魚と、何か話しているような絵です。私は昔、その絵を「的確に気持ちを察してくれる誰かに相談できるという意味かなぁ」って思っていました。場合によってはコレもアリかもしれませんが、大抵は「若さ故に夢見がち」などの解釈になりますよね。そうと知ったのは、「ジプシー占いの秘密」のハートのペイジのおかげなんです。
ハートのペイジは、パラダイスっぽく見える景色の空をペガサスが駆けていく、という絵です。解釈の一例として、「幼い精神による夢想」とあります。購入当時の私は、漫画やアニメのパロディを考えるのが大好きで、まさにこのカードの絵みたいな世界を心のド真ん中に広げていましたが、これまた若さ故に認めたくなくて「違うもーん」と言い張っていました、自分自身に。恥ずかしいぐらい、図星なのに、ねぇ。もう笑うしかありませんよ、自分でも。
その頃から四半世紀が過ぎた現在だからこそ、こうして笑って誤魔化そうと試みることができるわけです。が、それだけの時間が必要だったのは、頑固すぎる私だからです。もっと思考が柔軟で、自分のことも他人のことも同等に客観視する覚悟と実行力を持ち合わせている人なら、開封したてのデッキを楽しみながら伝統的なタロット各種と照らし合わせて何らかの発見を経験できるはず。そこまで本格的な覚悟が無くても、自分を偽らない素直ささえあれば、私よりもずっとずっと早くいろんなことに気づけるに違いありません。
どこか忘れましたが、プロの占師さんのサイトに「(タロット占いの)名手は多くのデッキを使い分ける」とありました。それはきっと、様々な立場の監修者や作画担当者の志に触れ、その人達が意匠に込めた物事を想像したり疑似体験したりすることによって、客観視の練習に繋げたり、時間を浪費せずに経験を積むとか視野を広げたりできる、という意味なのでしょう。もしも拙宅のこの長いだけの文章を読んでくださる方々の中にプロの占師を目指しておいでの方がいらっしゃいましたら、ほんのちょーっとだけでもアドバイスっぽく感じてもらえたら嬉しいです。
ちなみに、まったくの蛇足ですが、私が「名手は多くのデッキを使い分ける」という言葉に触れたのは数年前ですが、それに込められたものをこうして具体的に考えたのは今、この文章を綴っているまさに「現在」です(恥)。いやはや、ホント、魔女やプロの占師にならなくてよかったぁ…(自爆)。
(「ジプシー占いの秘密」についての付記:2008年4月11日ここまで)
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●ビーバン・クリスチーナの愛の女神カード監修:ビーバン・クリスチーナ 作画:出崎大視
発行:永岡書店 昭和57年8月5日第2版 ISBNの記載無し
オリジナル占いカードに対しても抵抗を感じなくなった私は、「女神」という言葉に惹かれてこの書籍を手に取りました。中学卒業か、高校入学の頃だったと思います。
このデッキは完全にタロットとは別物で、北欧神話の女神達をモチーフにしています。「ヨーロッパにはギリシャ・ローマ神話しかない」と思い込んでいたので、「北欧神話」という言葉にすら衝撃を受けました。
ケースから解説書と透明なセロファンで包まれたデッキを取り出した途端、購入を決めました。何しろ、輪郭だけを黒い太線で描き、細部は色線で描き込むという手法を新鮮に感じましたし、柔和なパステルカラーがとても綺麗なんですよ。しかも、カードはハードなプラスチック製で、色落ちも破損もしません。あえて困る点を挙げるなら、カードどうしがくっついてしまいやすい、ということぐらいでしょう。光沢を含めた美しさに悩殺された私は、フェミニンな印象のカードを求め始めるようになりました。
この書籍は、完全に絶版らしいです。古書店に出回っていることもあるようですが、ケースが薄いプラスチックの筒状のものなので破損しやすく、完品は入手困難と思われます。
「ビーバン・クリスチーナの愛の女神カード」についての付記:2008年5月13日
私にとって初めての「北欧神話」が、この書籍でした。小学校の頃からギリシャ・ローマ神話が大好きで、何度も何度も類似書籍を買っては読むを繰り返していました。日本にも神話があることは気づいていましたが、昔話と区別しておらず、不勉強なまま成長しました。そういう視界の狭い人間ですから、この書籍と出会うまで、ギリシャとローマ以外の国にまったく異なる神話があり、魅力的な女神様達が登場するなんて、お恥ずかしいですが、想像もしていませんでした。
かなり衝撃的でしたねぇ、初めてこの書籍のカードを見た時の印象は。上欄にもありますが、今でもインパクトの強さは思い出せます。
上半身は美しい女性で下半身が死者の魂が彷徨い出るのを防ぐ獣の姿の冥府の女神もいれば、当たり前のように山岳に腰掛けて微笑する女神もいるし、弓矢を手に野山を駆け回る女神が選んでしまった結婚相手が両性具有の海の神だったり、戦場に駆け付けて勇者の魂をオーディンの宮殿へと招く女神もいたりと、バリエーションの豊かなこと、豊かなこと。どうしてもっと早く興味を持たなかったんだろうと、歯噛して悔しがりました。
しかし、どこの国の神話や伝承にも共通しますが、女神って畏怖するべき性質の象徴です。「女を怒らせると怖い」なんて軽いものでは、断じてありませんよ。もっと怖いです。
例えば、ギリシャ神話のヘラから述べましょうか。ご存知の方が多いでしょうが、浮気性の夫である主神ゼウスが様々な女神や人間の女性に恋して子供を産ませたりするたびに、ヘラは夫だけでなく浮気相手をも呪います。むしろ、夫を無視して相手を殺したり、生まれた子供に苦難を運命づけたりと、強烈に憤怒しまくります。同じぐらい夫に対しても処罰すれば浮気の回数が減るでしょうが、それでは主神としての夫の面子を潰すことになり、そんな自分を良妻とは認めたくないんでしょうね、とにかく浮気相手と子供へと矛先が向くわけです。
日本にも、伊邪那美神という怖い女神が存在していますね。死後、黄泉の国まで夫の伊邪那岐神が迎えに来てくれて喜んだのも束の間、肉体が腐敗してしまっているのを見られ、逃げ出した夫を他の醜女と共に追いかけます。結局、伊邪那岐神は黄泉路を大きな岩で塞いでしまいますが、それを挟んでした会話というのが、「これから毎日千人の人間を殺してやる」という呪いと、「ならば我は千五百人の人間を産ませよう」という人間にとっては祝福となる呪いです。その後、伊邪那岐神は禊をして天照大神を始めとする様々な神々を産み、地上に豊かさを齎します。が、伊邪那美神は黄泉の国の奥底に戻っても怒りが収まらず、全身に八柱の雷神を宿し、地上を穢す病や災いを齎す元凶をも産み出します。
北欧神話も例外ではありません。誓約の女神は人と人、人と神、神と神が交わす約束すべてを聞き、無事に果たされるまで守護してくれますが、果たされなかったり破棄された場合は関係者全員に神罰を下します。それは最高神とされるオーディンであっても逃れることは許されず、誓約内容や破綻状況に従って罰せられます。他の女神達も同様で、それぞれが担う物事に関しては、誰よりも強い力を発揮します。故に、男神だからとか女神だからといった区別無く、神話においても重要な役目を果たしているのです。
古来伝わる神話や伝承、伝説を繙くと、「男尊女卑」という考え方が至極新しいものであることに気づかされます。腕力や膂力が強いとしても、男性だけでは世界も社会も成り立ちません。肉体的な力や能力で後れを取っても、男性を認め、頼り、受け入れる精神的な強さを有する女性がいて、初めて家庭も社会も世界も未来へと繋がるのです。蛇足ですが、逆も真なりでして、女性だけの世界や社会も成り立ちません。北欧神話の海の神が両性具有であることは、この事実を象徴しているように私は考えています。
(「ビーバン・クリスチーナの愛の女神カード」についての付記:2008年5月13日ここまで)
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●幸せを呼ぶ愛のタロット占い監修:K・H・ニコラス 作画:BELNE
発行:日東書院 1990年5月1日初版 ISBN4-528-00333-3
淡い色合いのウエイト版タロットは無いんだろうか、と探し始めて間もなく、この書籍を見つけました。
ミュシャを意識したデザインのカードなのですが、絵画に関する知識が皆無だった私は、幾何学的な背景模様に馴染む優しいタッチの人物画に対し、「こんな優美なウエイト版もあるのか」と、とても感動してしまいました。が、カード面の人物画や外箱のイラストが「少女漫画」チックなんですよね。学ランに憧れるあまり着込んでいたような高校生でしたから、レジに持っていくのにかなりの勇気を要しました。結局、解説書巻末近くの占い方の種類の豊富さに託つけ、「カードよりも解説書に用事があるんだから」と自分に言い聞かせた記憶があります。結果としては、解説書よりも当然カードを気に入り、コーティングの薄い紙製であることに気遣いながら何度か使用しました。大アルカナだけのデッキだったことで、占う時には気楽に使えましたが、眠ってもらうのも早まることになりました。
ISBNを記載しているとおり、このカードはまだ商業ルートでも探せるようです。が、非常に古いこととタロットというジャンルがメジャーでないことから、流通量は少ないようです。
「幸せを呼ぶ愛のタロット占い」についての付記:2008年5月14日
この書籍と出会うまでの私は、タロットの入門書は大人を主な客層に選んでいる出版社からしか発刊されないと、思い込んでいました。既に倒産した大陸書房とか、実業之日本社や二見書房など、堅い内容の専門書を扱っている印象が強い出版社でしょ? そう思うのは、私だけかもしれませんが……。
そのためでもありますが、漠然と「タロット=教養豊かな大人のための専門書」という概念が出来上がっていました。まぁ、解説書を読んでも神秘学に関する部分を理解しきれないでいましたから、こう思い込みつつ「私はまだまだ子供だし」と自分に言い訳していただけですけどね。事実、現在活躍中の鏡リュウジ氏や伊泉龍一氏は同世代ですが、神秘学を海外の学校で学ばれたり、タロットに関する研究を深くまで究めておいでだったり、鏡氏なんて高校時代から女性週刊誌の星占いのコーナーを担当しておいででしたから、「子供だから解んな〜い」で誤魔化し続けていた私は正真正銘の「子供」だったわけです。
そんな私の「子供」の部分が安堵してしまったのが、「幸せを呼ぶ愛のタロット占い」との出逢いでした。
あまり馴染みの無い日東書院社から出ていたこと、画風が少女漫画を思い出させるものであることにより、「ああ、星占いだけでなく、タロット占いも女の子がやりたがるものなんだな」と、認識が多少変化したのです。蛇足でしょうが、この認識も正確ではありませんよ。「女性」ではなく「女の子」と考えていますし、そもそもこれまで買い集めたデッキの監修者のほとんどが男性なんですから。
それでも「救われた」のも確かです。デッキとしてはきちんとウエイト版を踏襲していますし、美術的にも著名なミュシャの画風を意識していて、良質な入門用に仕上がっています。
敢えて「堅い」書籍との違いを探せば、「解説書の中身」だと私は思います。
絵の画風を漫画的にしたことよりも、カードに秘められた象徴の説明や、カードと神話・教典との関係の説明を省き、神秘学をまったく知らない人にも「解釈」が可能な内容に纏めたことが、この書籍の長所に思えるのです。
そして、そう思うのは私だけではなかったのでしょう、このデッキ以降、書店に並ぶ入門書の多くが小難しい研究成果を省き、いかに初心者に「解りやすい」と言わせるかと思案されたらしい内容になりました。但し、これは「ゆとり教育」が義務教育に齎したデメリットと同じく、「神秘学における定理や文法並の基礎部分を知らないまま、問題に対する解答を丸暗記するみたいにカードの代表的な意味だけ記憶し、それらを繋いだり組み合わせる手法で解釈を済ませる占師」を産むきっかけにもなりました。私がその典型だと自省しています。
もしもプロの占師に依頼するのならば、「カードの絵のどの部分から解釈内容を導いたかを説明できるか」とか、「解釈の説明の途中で依頼した問題とは異なる内容へとすり替えられてはいないか」とか、「依頼者である自分がカードを見て抱いたイメージとかけ離れた解釈内容を述べているか」あるいは「問題の当事者である依頼者が抱くイメージを尋ねるか無視するか」などに留意しながら、占ってもらいましょう。これらを意識するだけで、依頼した占師が「プロ」か「アマチュア」か判明することもありますし、何より問題の当事者である依頼者自身が納得できるか否かに直結します。占いに頼りきるのではなく、自力で問題を乗り越えるきっかけとするためにも、覚えておいて損にはなりませんよ。
(「幸せを呼ぶ愛のタロット占い」についての付記:2008年5月14日ここまで)
「幸せを呼ぶ愛のタロット占い」の購入後しばらくして、私は大学を受験することになりました。合否を占うこともありました。もちろん、自分に関することを占ってはいけないと知ってはいました。が、入手したカードを清める儀式もしなければ、他のカードと平気で並べて保存するヤツですので、あっけらかんと占いました。ところがある日、「占っている間に、公式を一つ覚えるべき」と気づいてしまい、カードに触れなくなりました。
進学先が東京の某大学に決まり、さまざまな趣味・嗜好の人々に出会ううち、私は竜や天使といった象徴的な存在について調べるようになりました。必然的に、聖書、ヴェーダ、古事記など、各地の神話や教典を読み、宗教哲学に対して興味を抱きました。大学中退後も、帰郷・就職を経ても、それは変わりませんでした。
そんな私が再びタロットを手にしたのは、結婚する直前でした。旦那とデートらしきものをしている時、偶然某所で「天野喜孝展」が開かれていたのです。
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●幸せをつかむタロット占い監修:エミール・シェラザード 作画:天野喜孝
発行:成美堂出版 1999年4月10日 ISBN4-415-07438-3
唐突ですが、私はゲームが好きです。特に「ファイナルファンタジー」シリーズが好きで、そのキャライメージ製作担当として初めて、天野氏の存在を知りました。そして、田中芳樹氏の小説「創竜伝」シリーズを読み、挿絵のタッチに嘆息していました。だから、旦那と某市へ遊びに行った際に偶然、天野喜孝展の会場前を通りかかった時も、立ち寄りました。販促コーナーも設けられており、そこでこの書籍と出会いました。閉場時間に近かったことと、天野氏の展示会を観に来ておいて中身を確認するのも失礼かと考え、カードデザインを確認せずにレジへ運びました。タロットを購入すること自体が数年ぶりで胸を高鳴らせ、「ここで買わなきゃ二度と逢えない」と訳もなく感じてもいました。
帰宅してから封を開け、天野氏特有のタッチとセンスで描かれたカードを見、即座に直感で占うのは難しいと悟りました。寓意性や象徴性を駆使するのではなく、氏独自の印象が反映されているからです。不慣れな間は、カードの名前すら解説書で調べてました。それでも数回使用してみました。当たらないわけではないので、見掛けよりも素直なカードではあるのでしょうが、やはりコレクション向きですね。
この書籍は、最近になって外箱の装丁が改められたようです。また、海外(主に英語圏)でも販売され始めました。どうやら、購入時に「二度と逢えない」と感じたのは、この書籍ではなく、隣に陳列されていた「チョコボ模様」のバンダナに対してだったみたいです。ついでに買っておけば良かったかなぁ…。
「幸せをつかむタロット占い」についての付記:2008年5月26日
高校卒業後、ほとんどタロットに触りませんでした。上京した先に持って行きもしませんでしたし。あ、いや、愛人第1号(大陸書房刊行「TAROT book & cards」)だけは持って行ったかな? うーん、思い出せんなぁ…。
ともあれ、こうして思い返してみますと、18歳から21歳までの在京時代は、タロット以外のオカルトにどっぷりと浸かっていました。ちょうど「前世ブーム」でしたし、どこに行っても1ヶ月ぐらいで「雨女!」と周囲から指を差されていたために、「私もちょっと他人とは違うかも〜」なんていう幻想を抱いていました。三十路の出口に差しかかった今だからこそ告白できる、結構恥ずかしい「過去」です、ハイ(苦笑)。ただ、だからって今も「勘違い女だ〜!」って指差さないでくださいね、あの頃は「ノストラダムスの大予言」だの「ぼく地球」だの「昭和天皇崩御」だの「バブル崩壊」だのと、とんでもなく不安が満ちていた時期で、大学に入ったからって就職できるとは限らないとか、私が潜入できたモンゴル語学科を卒業して外資系にも何とか入り込んだとしてもまったく言語的に異なる中国へ飛ばされるとか、10代後半には厳しい風が吹いていた影響もあったんです、ホントに。
そんなこんなで、今で言う「スピリチュアル」な物事にドップリ浸かり、旧約聖書に始まって、新約、偽典、ギルガメシュ叙事詩、リグ・ヴェーダと、オリエント方面の「教典」の和訳を読んでいました。後は、大学祭で、オウム真理教(現「アーレフ」)信者が洗面器に顔を突っ込んでいる前を通って、創価学会(現在は宗教的な組織ではないそうですが、当時はバリバリの日蓮正宗を名乗っていました)の戦争風景の写真展に入って宗教と戦争の歴史で1時間口頭バトルをしたり、借りていたアパートの見えない先住民(俗に言う「幽霊」ですかね)と脅かしあったり仲良くなったり(?)、近所の神社の縁日で奉納神楽を観たり、プロテスタント教会で見知らぬ人達の結婚を一緒に祝ったり、「あなたの幸せを祈らせてください」で有名になった新興宗教の教会へ見学に行ったり、一緒にアパートを借りた同居人の前世の話を聞いたりツッコミを入れたりと、カルト度は高くても学問的には結構低い関わり方をしていました。
そんな生活の中、私よりもカルト度が高い同居人がやっていたのが、「ファイナルファンタジー」というゲームでした。ほとんど働かないで同居人にたかって生活していた女性でして、ゲームソフトもゲーム機もたかられました。「仕事もせずに毎日前世の話をしてるヤツがたかるんだから、さぞやカルト的なゲームだろう」と思いましたが、皆さんご存知の通り、完成度の高いファンタジー世界がテレビに映るわけです。…あ、でも当時は「ファミコン」でしたから、完成度が高いと言ってもトータルバランスであって、画面はドット絵ですよ。全部、色の点。それも、粗い点描。なのに、私も魅入られました、あの世界に。カルト指数が高い私生活と残業指数が高い仕事の繰り返しの中にいたせいでもあるんでしょうが、「こんな綺麗でファンタジックな世界に行けたらいいのになぁ」って思っていました。
これが、私の「天野画伯ワールド初体験」です。
偶然絵画展に行ったのは、旦那と名古屋をブラついていた時ですから、東京から舞い戻って実家から名古屋の会社に通っていた時期です。当然同居人とも別れたので、今度は自分の稼ぎが全部自分の財布に納まるし、印刷業界は残業が多くて当たり前でしたから意図的にパート勤務を選びまして、の〜びのびしていました。自分のお金と時間と思考の休憩を持てるようになって最初に買ったのが、ファミコンと「FF」シリーズのソフトでした。絵画展に行った時には、既に画伯のファンと言うか、「天野画伯の絵=ゲームや小説の個性的で大好きなイラスト!」という観念が構築されていましたから、販売コーナーで書籍を発見した途端、「画伯のタロット〜!? ほ、欲しいっ! めっちゃ欲しいっ!! でも手持ちが少ないぃっ! チョコボのバンダナとどっちにしよぉっ!!!」と懊悩し始めました。
…何かご質問がおありのようですね。タロットとしての内容を考慮しなかったのかって? そりゃしませんでしたよ、全然っ! 「天野喜孝画伯の描いたタロット」というだけで、充分購入価値があるんですよ、私にとっては。
…あ、今やっと気づいちゃいました。私が「このデッキの絵を是非とも1枚1枚じっくりと堪能したいぃっ! 占いなんかできなくてもいいっ! 神秘学的要素なんか知るかぁっ!!」という気持ちで買った最初のデッキが、この「幸せをつかむタロット占い」ですわ。拙宅を解説して丸6年、全然意識していませんでした〜、はっはっは。
何というか、嬉しいですし、天野画伯に感謝したいです。自分の未来に漠然と不安を抱えて、適切な指導者を求めるどころか周囲に流されるようにカルト環境に踏み込んで、他人にたかられて18年間貯めた財産を全部失い、読んだ各種教典の概要だけを持ち帰り、実家に戻っても大した展望や願望も無く、虚しい心持ちでいたのに、それらを全部吹っ飛ばす勢いでこのデッキと巡り逢うことができたのですから。
蛇足ですが、私が東京で偏った環境にいた間、高校時代の同級生だった旦那は、親戚の家に下宿して大学にキッチリ通いつつ、ヒッピーかOLかというぐらい伸びた髪も切らずに学生会の役員として活動していたそうです。勿論、浪人生活も留年もせずにストレートで文系の中国学科を卒業しました。が、その後、就職浪人はしていないものの、戦国物や競馬物や恋愛物で有名なゲームメーカーにプログラマとして就職しちゃったという、私とは異なるものの、じつにマニアックな経歴の持ち主です。その上、書籍とバンダナを見比べている私を後ろで面白がって観察していたという、結構ズレた人です。本人は真っ向から否定しますけどね。
すっかり長くなりましたが、こうした私生活が背景にあったから、下記にあるように「伝統的なデザインから遠ざかる」蒐集へと移行していったわけです。
(「幸せをつかむタロット占い」についての付記:2008年5月26日ここまで)
「幸せをつかむタロット占い」を買った頃から、私にとってのタロットは、占いの道具ではなく、一種の哲学書に変わりました。故に、やたら占うのではなく、解説書を読んで著者の哲学や真理を学んだり、カードを眺めて感じたことを振り返ったりするようになりました。
同時に、伝統的なデザインから遠ざかることにもなったのです。
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●Winged Spirit Tarot ※同梱ブックレット和訳済み
著者:David Sexton 出版:U.S.Games ISBN1-57281-121-8
最寄りの都会へ通勤している旦那から、ある春の終わりに、大型書店でタロットキャンペーンを実施していると聞き、出かけた時に購入しました。
恥ずかしい話なのですが、私、海外でもタロットが出版されていると知らなかったんです。よくよく考えてみれば、海外に発祥の地があるのに。しかも、デッキのみの売り方が一般的なことも、この時に知りました。
そんな訳で、店頭のデッキケースの山にまず驚き、全種類を買い占めたいと考えました。しかし、洋書デッキは予想以上に高価だし、反して財布の中身は非常に乏しく、買い占めは無理…。どうしても購入したいデッキのみを選ばねばならなかったのです。ある定義に基づく様々なデザインの中から一、二種類を選ぶという作業は、選び手の嗜好や思考をか〜な〜り映し出します。この時の私もそうでした。「伝統的なデザインや画風を避けて、現代的なデザインで、シャープなタッチのデッキにしよう」と、元占い師希望者の精神よりも、コレクター魂が勝りました。
デッキケースに描かれた絵の印象だけで選びましたが、期待は裏切られませんでした。とにかく、シンプルなんです。背景はグレーのグラデーションのみ。寓意性はほとんどなく、画面には一人ないし数人の天使が描かれているのみ。小アルカナは状況が象徴的に描かれており画面から多少は想像できますが、大アルカナは天使が単身でポーズを取っているだけなので、いかなる天使か理解しないと、到底解釈できません。しかも、ケースに同梱された小さなブックレットは英文であり、文章的には平易でも、量が結構あります。内容的には天使の話が豊富で、興味深く記されてます。占いの最中に辞書を開くのが面倒な方で、相当拙くてもよろしければ、当サイトにある和訳文を参照してみてください。
このカードは今も販売されてます。書店よりも、ネットの通信販売のほうが入手しやすいでしょう。
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●TAROT of a MOON GARDEN
著者:Karen Marie Sweikhardt 出版:U.S.Games ISBN0-88079-705-3
上記「Winged Spirit Tarot」と一緒に、同じ書店で購入しました。購入の決め手は、「MOON GARDEN」という書籍名でした。直訳すると、「月の庭」。「月」という言葉、存在が大好きな私としては、デザイン云々関係無く購入を決めました。
このデッキは、ほとんどが「夜景」として描かれています(例外は大アルカナの「太陽」ぐらいでしょう)。夜空の見える森の中で妖精達が遊んでいるのを、木々の間から覗き見するといった趣になっています。欧米の絵本を思わせるタッチの絵、カラフルな色使いとそれを束ねるような夜空の紺色、描かれた人外の存在が、不思議な森に迷い込んだ感覚にさせてくれます。私好みの絵柄ではないのですが、何度も眺め、描かれている存在がどんなものか想像する楽しみを見つけました。と書けばお分かりいただけるでしょうが、このデッキも解説書は別売りで、ケースに同梱されているのは、カードの意味を列記しただけのブックレットです。意味から察するにウエイト版に意外と忠実ですから、逆に絵柄に込められた意匠を推察するのも面白いかと思います。
このカードも現在販売中です。出版元やネットの通信販売ですぐに見つかるでしょう。
正直なところ、「Winged Spirit Tarot」と「TAROT of a MOON GARDEN」の2デッキの購入により、私はコレクターとして自信を喪失しました。
前者は、デザインは好みなのですが、英語の解読という壁に立ち向かう勇気と時間を長らく持てず、「これでも本当にタロットが好きだと言えるのか?」と自問し、ケースを目にするだけで自分の汚点を見るような思いに陥りました。そして、後者は、名前につられて購入したもののなかなか絵柄に馴染めなかったことから、安易に行動した自分を恥じ、カードに対して失礼なことをしていると悩みました。これらの思いを抱くこと自体がカードに対して失礼であり、入手した限りは相応に愛着を感じるまで触りまくれば良いと気づくのに、数年かかりました。
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●運命が見えるタロット占い著者:美堀真利、田口智子 出版:成美堂出版 発行:2000年9月20日 ISBN4-415-01084-9
タロットマニアとしての自分に落胆していた私は、この書籍に出会って一気に気を取り直しました。近所の書店で見つけた途端、一目惚れしたんです。
ケースの表紙側に「月」、裏表紙側に「世界」の絵が施されているのですが、青いんです。どちらの絵も、微妙に異なる青色を基調としていて、ウエイト版とはまるで異なる意匠に基づいて描かれているんです。しかも、私好みの緻密で写実的なデザインだし、シャープなラインでありながら、明るい色使いとタッチにより柔和な印象を受けます。描かれている人物の肌の柔らかさすら感じる気がします。それでいて、手にした者を軽く突き放すような怜悧さもあります。これらの特徴全部が私のツボを巧みに刺激しました。もうタロットは買うまいと秘かに決意していたというのに、眩暈を覚えながらそそくさとレジへ運びました。
帰宅後、早速手に取った時、ちょっと驚きました。デザインもさることながら、解釈がウエイト版とは異なり、カードの並び順すら違っていたからです。著者の独自の理論に従い、忠実に描かれているらしく、細部に配された小物も象徴とされています。長年ウエイト版を眺め、オリジナル的であれ、伝統に追従するデッキばかりを見ていた私にとっては、衝撃的でした。そして、今までの私の視界が狭かったことを知りました。
具体的に言えば、「どんなデザインのカードにも『無駄』な部分はなく、全面に象徴が隠されているから、解説書の挙げる意味にばかり拘らず、カードのどこに何を感じるのかを大切にするべきだ」と、気づいたのです。これは、タロット占いをする者なら当然の常識であり、私も周知のことでした。が、言葉として覚えていただけで、実感し、実行するには至っていなかったのですね。それに気づかせてくれたこのデッキは、これから何種類購入しようとも、私にとって「最高の連れ合い」であり続けるでしょう。
この書籍は、意外と普及しています。書店の棚に並んでいますし、取り寄せても割とすぐに入荷されると思います。
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●愛と神秘のタロット占い
著者:ムーンプリンセス・妃弥子、笠井あゆみ 出版:成美堂出版 発行:1999年4月15日 ISBN4-415-07466-9
書店にて、頻繁に手に取りながら購入しなかった書籍です。理由は、「和(日本文化)」をタロットに組み込んでいる点を、なかなか受け入れられなかったためです。「タロット=西洋文化」という概念が私の中に強く根挿し、そこに東洋の香りを加えるということに対し、首を傾げていたのです。
では何故入手したのか、と言いますと。
古書店で見つけてしまったのです。「せっかく入手したデッキを叩き売りする人がいるのか!」と、憤りに近い気持ちを覚えました。そして、「可哀想に…」とデッキに同情もしていました。それまで疑問を抱いていたデッキだということも分かっていましたが、既に情が移ってしまっていたんですね。捨て猫を拾う時の気分とも同じだったかもしれません。
とにもかくにも入手しましたから、一通りカードを眺め、解説書に目を通しました。結果、「買って良かった」と思いました。和風の意匠になっているとは言え、根底にはウエイト版の流れが感じられます。ウエイト版と類似する手法が、あるカードでは画面の構成に、別のカードでは象徴的な小物に、また別のカードでは人物の姿勢にと、細部に用いられているのです。それでいて、作画担当女史の観念に基づくシュールさ、解説担当女史の独自の解釈も活かされています。まるで、細い線がびっしりと描き込まれたデザインそのままに、デッキ全体に意匠という糸が丁寧に織り込まれているようです。
この書籍もまだ流通ルートに残っているようですが、2002年半ば頃に外箱が新装され、海外にも流通し始めました。内容の改訂具合は不明です。
「幸せをつかむタロット占い」、「運命が見えるタロット占い」、「愛と神秘のタロット占い」と、3種類の成美堂出版のタロットを入手して思ったことを、ここで少し書いておきます。
成美堂出版のタロットは、初心者向きではありませんね。
どうやら、出版社ごとにデッキの雰囲気や傾向が決まっているようですが、成美堂出版のものは特に個性が強いと思います。ある程度タロットに精通した人が独創性を求めて購入するとか、コレクターが蒐集欲を満たすのに向いているのではないでしょうか。少なくとも私が入手した3種類のデッキは、重厚な伝統とは無縁です。気軽に明るい気分で占えるのは利点ですが、伝統的なデッキの知識が多少は無いと解釈を解説書にばかり頼ることになるでしょう。
やはり、最初は純正(もしくは純正に近い)ウエイト版が取っつきやすいと思います。大アルカナだけでなく、小アルカナも物語仕立てで楽しめますし、何より解説書が豊富に販売されているのが助かります。日本語書籍から読みやすそうな解説書を選び、カードはライダー・ウエイト版を使うのが、一番手っ取り早いでしょう。
参考例:私の場合、以下の書籍を併用することにしました。
「TAROT Book & Cards」の解説書(著者:アレクサンドリア・木星王)
「Universal Waite Tarot」のカード(著者:Stuart R. Kaplan、Pamera Colman Smith、Mary Hanson-Roverts)
ウエイト版を使い込んでから、成美堂出版のオリジナル色の強いカードを用いれば、より趣深い解釈ができるかもしれません。
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●秘伝カモワン・タロット
著者:フィリップ・カモワン、大沼忠弘 出版:Gakken 発行:2002年1月1日1版 ISBN4-05-401522-0
多分、私にとって最初で最後のマルセイユ版タロットです。
書店で見かけるようになってから、しばらく購入を躊躇っていました。理由は、タロット占いをほとんどやらなくなったからです。占いとは、希望を抱く人が達成を目指す際に励みとして行うものだと、私は考えます。日々の生活に追われて心に余裕が無くなるにつれ、私は占いをしなくなりました。それなのに、カードデッキばかり増やすのは良くないだろうと、購入を躊躇っていたのです。
にも拘わらず購入したのは、理解する努力もせずに拒絶していてはいけないと、考え直したからです。
まったくお恥ずかしい限りですが、タロット愛好歴が長いわりに私は無知です。この書籍の解説書を読み、マルセイユ版を誤解していたことに気づきました。初めてマルセイユ版の素晴らしさを知りました。構図、人物、その視線、小物、それぞれを彩る色、どれを取っても歴史の積み重ねから生まれた意匠の一部であり、人々の心の奥底を掘り返す力を感じます。同時に、タロットの各系統はどこか深い部分で繋がっており、どの版が優れているとか、どの版こそがより元祖に近いとか、語るべきではないとも実感しました。どんなデッキにも、個人や集団の意匠が織り込まれており、使用者はそれを理解し、最低限の敬意をもって扱うべきだと得心しました。
あ、しかし、カードを塩で清めるとか、お香の煙に潜らせるとか、しなければならないとは考えてませんよ? そうした儀式も、結局は「気持ちの問題」だと思いますので、否定もしませんが。私の場合は、デッキのカード一枚一枚を手に取って眺め、解説書を一通り読破し、最低限の理解をしたつもりになる、という作業を「儀式」にしています。それに、それだけしかやらないからと言って、デッキに恨まれた覚えは一度もありません。
話を戻して。
この書籍は、書店に並んでいます。またカードも、ガンガン占うことを前提に作られており、例え破損してしまっても、ネット通販でデッキ単位で購入できます。他の系統のデッキよりもシンプルな展開で占えますし、初心者から上級者まで自分のレベルに合わせて解釈できますので、「現在最も安心してお薦めできるタロット」だと私は考えています。
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●The Celtic Dragon Tarot ※セット売り解説書和訳済み
著者:D. J. Conway、Lisa Hunt 出版:Llewwllyn Publications ISBN1-56718-182-1
当HPの他コーナーにも目を通された方は既にお察しかもしれませんが、私は竜が大好きです。語る相手がいれば、1時間なり2時間なり、語っていられるほど思い入れがあります。そんな私が、ある日、ネット書店で思い立ちました。「竜のカードがあるんじゃないかしら?」と。気まぐれに検索した結果、発見し、衝動的に購入したのが、この書籍と次項目の「DRAGON TAROT」です。
児童文学の挿絵のように柔和で色彩鮮やかなカードです。竜を必ず描いたデザインはオリジナルなのですが、占いに際してのカードの意味は基本的にウエイト版に忠実です。描かれた竜は、森羅万象の根底にあるものを象徴したり、輪廻転生の導き手を意味したりします。共に描かれる人物や背景、小物などにも、著者の意匠が込められています。これらの説明は、カードごとに丁寧に解説されていますので、よろしければ当HPの拙い和訳を参照してみてください。著者の意匠とウエイト版の伝統の融合具合の興味深さに触れられると思います。
小アルカナの和訳を進めているうちに、ふと気づきました。このデッキ、「ケルト文化」について、著者は結構勉強していらっしゃり、それを反映させようと試みてます。
一般的なウエイト版では、小アルカナの各スートを四大元素に結びつけています。「杖」は「火」、「剣」は「風」とされていますが、このデッキは違います。「棒」が「風」で「剣」が「火」なんです。ケルト民族にとって大自然が重要視されており、人もその一部と見なされているようです。ゆえに、人を殺す道具たる「剣」に、森を焼く「火」があてがわれたのだろうと思われます。また、ケルト地方の信仰には「女神」が多いからか、女性が描かれたカードのほうが良い意味を示すことが多いです。もちろん、全部ではありません。が、全体的に「女性」を意識している気がします。
この書籍には、他に魔術書としての要素もあります。カードと蝋燭を用いての魔術や、瞑想法も紹介されています。が、私は魔術にも疎ければ、ケルト神話も読んだことのない浅学の徒ですから、その信頼性は保証できません。
現在も販売されていますが、洋書ですので取り寄せに時間を要します。ご注意ください。また、パソコンのアプリケーションのように余裕のありすぎる梱包です。デッキケースもカードよりも大きければ、セットを収納するケースもかなり大きく、隙間もたくさんできます。積み上げて保管するには向きませんので、そちらもご注意ください。
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●DRAGON TAROT ※セット売り解説書和訳済み
著者:Terry Donaldson、Peter Pracownik 出版:U.S.Games ISBN0-88079-182-9
「The Celtic Dragon Tarot」と共に衝動買いした書籍ですが、最初注文した時、間違えて解説書だけ入手してしまいました。すぐに返品し、デッキがセットされている上記ISBNのものを買い直しましたが、待っている間が長く感じられました。それぐらい楽しみにしつつ入手したデッキです。
どのカードにも翼竜が描かれ、くっきりシャープなラインと原色を多く用いた派手な紙面が印象的です。どの竜も大きくて円らな瞳をしており、表情らしい表情がありませんし、爬虫類(っぽい)だけに象徴的な衣装を纏ってもいません。カードの隅に様々な象徴・記号が描かれているとは言え、占いに用いるのなら解説書を一読したほうが良いです。というのも、このデッキは旧来のウエイト版に基づいているとは限らず、竜達が演じているのは各カードの主役であり、大アルカナに限っては彼らの「言葉」として解説が記されているからです。それだけでも充分楽しめます。物語仕立てになっているわけではありませんが、カードに描かれた彼らがより活き活きと見えてきますし。何よりも、どんなカードであれ、極端に良い意味だけのものもないけれど、極端に悪い意味だけのカードもないことが分かり、質問に対してどういう心構えを持つべきか考えられるようになるからです。
また、解説書の後半には、世界各国の竜にまつわる話が紹介されています。記述量や内容から察するに、この解説書の著者は占い方よりもこの逸話のほうを書きたかったのではないか、とさえ思えます。それぐらい丁寧に、できる限り抜粋元を明らかにしながら、古代からの竜の逸話を紹介しています。私個人としては、このパートのほうが興味深いです。
ちなみに、上記ISBNのセット売りを購入しますと、ケルト十字スプレッドの実物大説明用紙(その上で展開可能)が同梱されます。英語表記ではありますが、展開方法をなかなか覚えられない人にはありがたいサービスだと思います(少なくとも私は喜びました)。
欧米のタロットマニアにも人気があるらしく、様々なサイトで通信販売されています。収納ケースも紙製ですが、きっちり作られていますので、コレクターにも嬉しい書籍です。
ところで、独創的なデッキを幾つも集めて眺めて楽しむようになってみて、カードと自分の関係の仕方とか距離感というものがあると気づきました。占師諸氏のサイトのリーディング(解釈)の仕方にたまに書いてある、「カードが訴えかけてくる」とか、「カードに問いかけてみる」とかといったことに、近いかもしれません。
例として何枚かカードを挙げたいのですが、当サイトでは画像を掲載していませんし、読んでいただける方が同じ感覚を抱かれるとは限りませんから、共通概念として把握しやすそうなハーボットを利用させていただきます。
ハーボットの見える部分を、ハーボックスという窓枠なのですが、カードだと考えてください。その中央で、ハーボットが動いていますね。時々留守にしてツノだけが光っているかもしれませんが、それはそれでそういうカード画面と思ってください。私達が何もしない限り、ハーボットが勝手に何かしており、私達はそれを窓の外で眺めるだけです。でも、「あ、今は食事中なのね」とか、「窓を拭いてるんだな」とか、無意識のうちに感じ取っています。
では、ハーボックスの「?」の部分をクリックしてみましょう。すると、ハーボットは来客に気づき、窓辺に寄ってきて話しかけてきます。その話が途切れるのは、大抵私達に質問をしている時か「もう用事はない」と伝えた時です。この時、私達はハーボットと窓を挟んで対話していることになります。
ついでにゲームをしてみましょう。無料で利用できる「ハーボカート」を例にします。これは、ハーボットが乗っているカートを私達が操縦し、サーキットコースを3周回るゲームです。走行しているのはハーボットですが、操っているのは私達です。つまり、疑似的ではありますが、私達がハーボットの世界に踏み込んでいることになります。
タロットカードとの関係も、これら3つに分類できるような気が、私にはします。描かれている世界観をカードという窓越しに眺め、感じることで解釈するタイプ。描かれている人物との対話を空想することで、自分の思考や感覚を整理しながら解釈するタイプ。描かれている人物に自分を投影したり、世界観にどっぷり浸って何をどう感じるのか、疑似体験的に解釈するタイプ。といった具合です。もちろん、これらはデッキ単位ではなくカード1枚1枚に対してのことですし、同じカードに対しても時と場合によっては異なってきます。
解説書によっては、言外に「このデッキはこういう把握の仕方をしてほしい」と記してもありますが、それに囚われることなく、自由に、その時々の自分に合ったスタンスでカードを眺め、楽しむのが最良だとも私は思います。
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●正統カバラ・タロット占術著者:斉藤啓一、安久津和巳 出版:Gakken 発行:1996年4月15日第4刷 ISBN4-05-106235-X
「カモワン・タロット」により、「Gakkenはかつての大陸書房のように伝統的なタロットに力を入れてくれている」と勝手に信じた私は、店頭でこの書籍を見つけた時、さほど躊躇せずに購入しました。考えたことと言えば、「愛蔵版にしては意外と安価だな(それでも3800円ですが)」と、「カバラって何?」程度でした。
この書籍に関しては、和書であるにもかかわらず、まだ目を通し終わっていませんし、理解するのを諦めました。
この書籍は、著者である斉藤啓一氏の別著を読み、「カバラ」とか「ゲマトリア数秘術」なるものについて理解した上で、タロット占師を志す方を読者として想定されています。そのため、肝心のカバラや数秘術という要素については、ほとんど説明されていません。デッキのカードの順番も他と大幅に違うのですが、理由は言及されていません。多分、「カバラ」とか「ゲマトリア数秘術」に関係しているのでしょう。これらに関しての入門書ではありませんから、書かれている内容を鵜呑みにする以外、把握しようがありません。一応、基本中の基本に相当するらしいセフィロト(別名「生命の樹」)に関しては、第一巻の冒頭部分と第二巻の巻末付録に記述があり、知識のある方には参考になるかもしれません。
神秘学関係の知識をほとんど持ち合わせていない私には、第一巻の見どころは「占師を志す者の心のあり方について」の記述、第二巻の見どころは「各カードの絵柄解説」でした。どちらも、他の書籍では軽んじられることもあるため、著者のカード占いに対する考え方を垣間見た気分で読みました。
カードそのものは、一応フルカラーですがセピアトーンに仕上げられ、真新しくても古めかしく演出されています。そこに「カバラ数秘術は長い歴史に基づいているんだよ」というわざとらしさを感じたりもするのですが、それは私が斜に構えたひねくれ者だからでしょう。カードの解説を読んでいると、幾何学的な背景の前に立つ人物の姿などに、妙に愛着が湧いてきます。が、基本的に「どうしてウエイト版やマルセイユ版とは順番が違うのか」などの説明が記載されていませんから、使用や鑑賞の際には純粋に絵柄だけを楽しむつもりです。
オカルトブームが十数年に一度訪れるそうです。中でも、20世紀末の少し前(1990年頃)は前世ブームと称されるほど、異常な盛り上がりを見せました。当時、思春期真っ只中だった私も興味を持ち、神秘的なものに憧れたものです。「カバラ」とか「数秘術」とかに興味を持ったのも、その頃でした。読もうと思えば、オカルト雑誌や単行本など、数多く出版されていました。が、入門書と呼ぶには難しすぎるのか、奇をてらいすぎているのか、どうも理解しきれませんでした。
その頃の私が漠然と把握した範囲は、以下のとおりです。
「カバラ」とは、森羅万象を「セフィロト(生命の樹)」に当てはめて把握しようとする神秘学である。「セフィロト」は人体の構造にも何らかの関係を持ち、肉体や魂における中核(東洋神秘学でいう「チャクラ」)に相当するらしい。つまり、一部の「セフィロト」を研究する人によれば、神秘学は医術とも結びついているとなる。これらの神秘学を理解しやすいように纏めた図が「セフィロト」であり、研究者同士で用いる神秘学言語が「カバラ数秘術」なるものと思われる(この辺りから理解力が働かなくなりました)。
今振り返ると、当時の自称「研究者」達はじつに独り善がりで、読者を想定しない書き記し方をしていたと思います。それに気づかず、理解できない自分に幻滅したことを少し悔やんでいます。「正統カバラ・タロット占術」に対しても辛口の評価を下してしまうのは、かつての苦い記憶のせいかもしれません。
ついでに、昔話をもう一つ。
神戸にある「魔女の家」という団体をご存知でしょうか。このページのトップを飾る書籍の著者、アレクサンドリア・木星王(現在は「木星王」)氏が設立した、占い師と神秘学研究家により構成されている団体(のはず)です。設立時、私は中学生で、タロットの存在を教えてくれた友人と、「魔女の家」に加わって本物の魔女になりたいと語り合っていました。幸か不幸か、規定年齢未満でしたのでその願いは叶いませんでしたが。
それにしても、「本物の魔女」ってどんなものなんでしょう?
水晶玉やタロット、星の位置を記した図面を前に占いをする――というのが、当時の私の認識でした。それだと単なる占い師でしかないと言われないように、大きな釜を使って怪しげな実験をし、どろりとした薬品を作ってみたりもしようかとも考えました。とにかく、「神秘」にどっぷり浸っていられる人のことだと、漠然と思い描いていたわけです。
この幻想が玉砕したのは、前述のオカルトブームの頃です。
画面をご覧くださるだけでご理解いただけますように、私は典型的な文系人間です。しかも、ものぐさで、「機械がやってくれことは機械に任せれば良いじゃないか」主義です。こんな性格で、「森羅万象を数字で解析し、神秘学に適応させて理論的に咀嚼する」ことを目的とした数秘術ができるはずがありません。一つでも理解できない「神秘」があるのでは、一人前の魔女になれるはずがないと、涙を飲んだのです。今にして思えば、スティック一つで変身できる「魔女」もいるぐらいだし、諦めるには早すぎたかもしれませんけどね。
もっとも正式な占星術に使う図面を描くのも読み解くのも面倒だと感じるので、占い師を志していたら、某「魔女見習い」以上にはた迷惑な少女になっていたかもしれません。
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●Tarot Art Nouveau ※同梱解説用紙和訳済
著者:Antonella Castelli 出版:LO SCARABEO 発行:2000年 ISBN0-73870-008-8
数年に一度、やたらジグソーパズルを組みたくなることがあります。ジグソーパズル専門店には、通りがかるたびに、買う気がなくても必ず立ち寄ります。そして、決まってミュシャの「星」シリーズがあることを確認します。ミュシャの絵は、パズル業界でも人気があり、定番となっています。彼の作品は、限られたスペースに様々な要素、それも象徴的な美しい物をより美しく見えるように配し、シャープな外郭線と豊かな色彩で表現する、静止画の極致と言えます。
そのミュシャの作風に限りなく近づけようという志が、このデッキには感じられます。直線を極力使わず滑らかな曲線で、外郭以外は細く描かれています。しかも、色彩はパステル調で統一されており、ミュシャの作品よりも明るい印象があります。描かれているものも女性や花が多く、男性的なデザインのカードですら、構図や背景にソフトな印象を与える工夫を凝らしてあります。そのため、デッキ全体が女性的な美しさに満ちています。
但し、タロットとして考えると、寓意性や象徴性に欠けており、細部まで観察して解釈するというよりも、パッとみた瞬間の印象を重視するタイプです。また、図像として女性が多く使われていますから、女性心理を表現するのには向いているでしょうが、男性心理や社会一般の動向などを把握するのは困難かと思います。恋占いをする年齢でも状況でもなくなった私には、コレクションの一つであり、心を穏やかに鎮める際の道具の一つでもあるデッキです。
上記ISBNは英語版であり、カードのみの販売になります。ケースの中には英語の解説用紙(冊子にあらず)が同梱されており、解る範囲内で目を通した限りでは、ウエイト版を基本としてカードの印象に合わせた意味を加えているようです。量も多くないので、いずれ和訳してみたいと考えています。
蛇足ですが、非常によく似た名称のデッキがU.S.Games社から出版されています。当然中身は異なりますので、購入する際には充分吟味しましょう。
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●パンドラのタロット
著者:陳淑芬、エミール・シェラザード、ステラ・ボンボヤージュ 出版:尖端出版、ワニブックス 発行:2002年11月20日初版 ISBN4-8470-1467-7
当HPを開設してからというもの、ありがたいことに常連様にも恵まれました。そのお一人である猫(にゃお)屋敷様より教えていただいたタロットです。
非常に美麗です。「塔」以外の大アルカナと宮廷カード(小アルカナの数札以外)に描かれている人物は、毛髪の一本一本すら質感に溢れています。肌に至っては、見るからに瑞々しいです。どの人物も生き生きとした瞳をしており、まるで写真のようで、初見の時には「絵(CG)」だと思えませんでした。カードのサイズが小さめで細長く、まるで栞のようなので、気に入りのカード(私にとっては「死神」と「月」)を本当に栞として使おうかという考えが過りました。そうすれば眺めたり触れたりする機会が多くなるのですが、どうやら見た目よりも印刷状態は良くないようで、裏面の黒インクが微かに色移りしがちに感じます。カードが丈夫で、拭けば綺麗になるとは言え、ちょっと残念です。
解説書は、ウエイト版を長く扱っている上に、タロットをあくまでも「道具」として冷静に捉えている、エミール・シェラザード氏によります。短文で適確に必要事項を表現している文章です。が、どうやら陳氏の描いたデッキのために記されたものではなく、別の解説書を流用している感が否めません。ゆえに、「参考書」的な印象がありました。
また、人物のポートレイト風のデッキだけに、寓意性よりも印象を重視して占う必要があると思います。
もっとも、どんなマイナス要因があっても、写実的デザインを好むマニアなら、入手して損はありません。
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●ANANDA TAROT
著者:Ananda Kurt Pilz 出版:Urania ISBN3-908646-86-3
竜フェチ(遂に開き直り)の私は、「マナスヴィン竜王」について調べようとGoogle検索を試みました。が、日本語サイトでは既に読んだ書籍の記述を基にしている説明が多く、期待したほどの成果は上がりませんでした。そこで、英語圏のサイトを探そうと考えたのですが、「マナスヴィン」の綴りに自信が持てません。で、思い浮かんだのが、「アナンタ竜王」でした。「Ananta」もしくは「Ananda」で見つかるだろうし、見つかれば同じ八大竜王絡みで「マナスヴィン竜王」の記事も読めるだろう、と考えたのです。
こうしたタロットとは無関係な検索を行わなかったら、私はこの書籍とは出会いませんでした。
検索の結果、「ANANDA TAROT」なるデッキがあるらしいことを海外のタロットレビュー専門サイトで知り、興味を持ちました。ありったけのAmazonで検索しまくり、ドイツ限定で発行されている書籍らしいこと、「ANANDA」とは著者の名前であり、オリジナルのデザインでカードを描いているらしい気配を知りました。レビューサイトでサンプル画像を見て回り、その画風は写実的なタッチで、色彩も豊かで、青(私にとっては最も重要な色)の使い方も好ましく感じました。
これはぜひ入手したい!と悶えていた時、当HPの常連様である猫(にゃお)屋敷様から入手の報告をいただき、やはり期待を裏切らない出来栄えのデッキであること、保存ケースもしっかりしていることを教えていただきました。「クレジットカードを持ってないしぃ、ドイツ語は解らないしぃ」という悶々とした思いを断ち切るべく、年会費のいらないデパートカードと契約を結び、見やすそうな独和辞典を購入し、Amazon.deに挑みましたとも!
かくしてこのデッキは、現在の私にとって「最も苦労を伴って手に入れた愛人」となりました。
デッキ内容は、非常に気合いが入ってます。全カード、小アルカナの数札に至るまで、一枚一枚象徴絵画が描かれています。寓意絵画として著者は描いているのかもしれませんが、ドイツ語解説書を解読できない私にとっては、シュールレアリスムに基づいた、写実的タッチの幻想絵画です。用いられている象徴要素も、キリスト教・密教・占星術などの神秘思想など、洋の東西を問わずに取り込まれています。ウエイト版の基本的意味を思い浮かべ比較しながら大アルカナを眺めたところ、ほとんどのカードに個性的な解釈が当てられていそうだと感じました。小アルカナに至っては、象徴が剣と杯、光線(炎ではなく天から差し込む光の筋)、球(水晶玉が基本ですが惑星も該当することあり)と変更されており、とことんシュールな画面が繰り広げられています。解説書を読むのが楽しみなデザインです。が、前述のようにドイツ語ですので、和訳は私には極めて困難なんです。日本語か英語の圏内で、真面目にタロットに取り組む出版社から、翻訳版を発行していただきたいものです。そうしたら、もう一組、カードとセットで購入させてもらうのに…。
この文章を読んで興味を持ち、購入を決意された方に助言させていただきます。「Amazon.co.jpでも扱われているようですが、久しく在庫切れになっています。Amazon.deで購入するほうが早いですよ。但し、輸送途中で手荒に扱われ、保存ケースが歪む可能性もあります(ウチの愛人は歪みました)。万全を期すならば、ギフト用梱包を頼んだほうが良いかもしれません」。
以上の記述を読まれた方ならばもうお分かりでしょうが、私はデザイナーによるオリジナルデッキが好きです。伝統的なカードのほうが占う際には適していると考えていますが、オリジナルデッキの斬新さが好きです。しかも、手間暇かけた力作だと感じると、もう購買意識を刺激され、買わずにはいられなくなります。
しかし、どんなデッキでも購入したくなるわけではありません。私なりに基準があります。
絵画であること。手描きでもCGでも構いませんが、著者なり作画担当者なりの入魂ぶりや気合いを感じられるからです。気合いを感じれば写真やコラージュのデッキも好ましく思いますが、不必要なまでにエロティックな要素を加えたり、技術にのみ固執している物は敬遠してしまいます。
一文化に固執しないこと。タロットとは、全世界共通の概念に訴える道具だと考えます。個人やグループの主義・主張を表現する場であって構わないと思うのですが、可能な限り広い視野を持とうと努力する姿勢も必要ではないでしょうか。デッキ全体の雰囲気を一文化に統一するのも一興ではありますが、固執するあまり表紙などに「これこそ究極!」めいたフレーズが印刷されていたりするのは、一気に興醒めしてしまいます。
カラーのデッキならば色使い、モノクロのデッキなら描き込み具合が、適切な印象であること。カラーのデッキに関しては、私は青色の扱われ方を気にします。同じ「青」という色でも、濃淡やインクの合わせ方一つで微妙に神秘的な印象が変化します。「飛び込みたくなる懐の深さを表す青」と「冷ややかに突き放したがる青」が巧みに共存していると感じたデッキは、衝動的に購入してしまいます。モノクロのデッキに関しては、線がくどくどしく描き込まれている物は敬遠します。「緻密」なデザインとは、適度に白い部分を残しているものです。また、太い・細いに関係なく、自信を持って刻み込むような気迫を感じる線に好感を抱きます。
デザインや解釈が極端に未熟でないこと。商業ルートに乗っている商品ならば安心、というものではありません。他人の商品を丸ごとコピーしただけの「パクリ」も、私は「未熟」と判断します。絵柄などカードのデザインに統一感が感じられないのも、作画担当者の技術不足と判断します。
これらは私独自の判断基準でしかありません。存在するデッキを全部コレクションすることに意義を感じる人もいるでしょうし、オリジナルデッキはタロットと認められないと考える人もいるでしょう。それはそれで、立派な主義だと思います。こうした個別の主義に合わせて蒐集できるというのも、タロットの懐の深さゆえというものです。
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●The Original RIDER WAITE TAROT PACK ※同梱解説書和訳中
著者:A.E.Waite、Pamela Colman Smith 出版:RIDER BOOKS 発行:1999年 ISBN0-88079-686-3
小田桐ジュリアン女史の「月のかがみ」というメルマガを楽しみにしています。多くの研究家や占師の方々が大アルカナから解説するところ、女史は小アルカナのワンドから扱われています。その簡潔な文章を読み始めて、ウエイト版の小アルカナの構成が物語仕立てになっていることを、ようやく思い出しました。「愛人1号」から教えてもらっていたはずでしたのに…。
「こんなことではいかん! 初心に帰ってウエイト版デッキを入手しよう!」と考え、ネット書店で購入しました。
愛蔵版を思わせるしっかりした箱に入っています。解説書はカードとほぼ同じサイズで小振りですが、中身はしっかり詳細が記されています。筆者はウエイト版の父ですし、機会があれば和訳したいと考えています。
デッキとしては、印刷業界用語でいう「80線(現代の新聞と同等の解像度)」ぐらいのドットが見られます。人物はほとんど赤ら顔に見え、青い色素がかなり薄く使われています。多分、19世紀末から20世紀初頭にかけての初版を見本とし、時を経て色褪せしながらも残存するデッキを忠実に再現したものだからだと思われます。封を切った当初は肩を落としましたが、納得してみればかえってウエイト版の息の長さや愛され方を感じるというものです。
個人的には、色彩が鮮やかなほうが好みですから、このデッキは「ウエイト氏の記した哲学書」であり、「長い歴史に触れる鍵」として大切に保存し、酷使用のデッキも別に購入しようと秘かに企んでいます。
「The Original RIDER WAITE TAROT PACK」と同時に、Pamela Colman Smith女史によるデッキも注文したのですが、そちらは需要が多いのか、はたまた注文時期が2002年12月というクリスマス商戦期間だったからか、入荷が遅れるとのことでした。それはまぁ、仕方がないと諦めていたつもりでした。
が、あくまでも「つもり」だけであり、実際には欲求不満に陥っていたようです。
クリスマスという時節の解放感やら、旦那が「これで好きなだけタロットを買ってくれ(半ば諦め口調)」とボーナスのお裾分けをしてくれたことやらを契機に、数年ぶりに「タロットの衝動買い」に走ってしまいました。以下に掲載する3書籍が、その時の戦利品です。
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●弦エニシのタロット占い
著者:弦エニシ 出版:ナツメ社 発行:2002年11月10日 ISBN4-9163-1194-7
「2002年12月タロット衝動買い」の第一弾です。外箱に描かれた「女帝」の絵が色鮮やかで明るい印象であったこと、図形象徴はウエイト版に通ずるものがあるのに使用する色彩が異なることに興味を持ち、購入しました。
いろんな意味で凄いデッキだと、思います。
大アルカナ22枚のみの構成で、赤と黄色の印象の強い彩りです。デザインも、耽美主義を醸し出しています。ウエイト版の流れを汲む象徴を部分的に用いながら、個性的にアレンジしています。
解釈の仕方も、強烈に個性的です。TAROなる青年が「愚者」から「世界」までを順に旅する物語になっています。しかも、前半では彼の恋愛劇、後半では彼の一獲千金劇となっており、宗教だとか哲学だとかの気配は一切感じさせません。「これが本当に大アルカナの解釈か?」と我が目を疑い、読み返してみました。各カードのキーワードから連想できなくもない展開や内容ではあります。が、それだけに、著者がいかに現世欲を重要視しているか、実感せざるを得ませんでした。
解説本を通読すると、多分誰でも散漫とした感じを受けるのではないでしょうか。冒頭で「タロットの発祥はエジプト」と断言してありますが、その論拠は極めて薄いし、デッキに反映されている気配はありません。タロットとオカルトの関係を婉曲的に否定しつつも、占う時の精神集中にマントラ(密教やヒンドゥ教における神仏へ請願するための呪文)の詠唱を勧めています。しかも、著者自らの神秘体験(それも宇宙人との遭遇)をコラムとして掲載し、不必要なほどのオカルティックな演出がなされています。
余計なお世話でしょうが、この書籍、タロット占い用のデッキではなく、単なる読み物として新書などで販売したほうが良かったのではないでしょうか。少なくとも私は、この書籍を「タロット」という「哲学書」とは認めません。
唯一、興味深く感じたのは、「ワンオラクル」という占術に関してです。万事につけて占いに頼るのは好ましくないと考えますが、デッキを携帯して一枚だけ選び眺めることは、カードに親しめますし、暇潰しを有意義なものにしてくれるでしょう。機会があれば試みようと思いますが、マントラの詠唱はしたくありませんし、このデッキよりもっと馴染みたいものを用いるつもりです。
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●幸せのマイ・タロット
著者:丘マリナ 出版:土屋書店 ISBN4-8069-0392-2
「2002年12月タロット衝動買い」の第二弾です。購入の1ヶ月前ぐらいに書店で見つけ、中身も確認しました。その時の印象は、「絵柄があまり巧緻じゃない」でした。が、妙に記憶に残り、気になって気になって仕方がありませんでした。そこで、すっきりするべく、「衝動買い」に走りました。つまり、入手したい気持ちが昂ぶっていたわけですね。
で、改めてカードのデザインを確認してみたところ、「気になって仕方がなかった」理由が解りました。
このデッキは、確かに緻密さとは無縁です。失礼な表現をしてしまえば、セミプロがウエイト版を簡略化して模しただけ、とまず感じました。が、大アルカナ22枚全体を通してタッチに統一感があります。また、精神面を見つめる意味合いを持つカードの人物が目を閉じている点も気に入りました。ウエイト版のオリジナルで重用される魔術的象徴は薄らいでいても、より簡略に解釈をイメージできるデッキに仕上がっていると思います。
占いに関する心構えなどの記述も、少々オカルト的な要素を押し付ける印象の個所もありますが、必要以上に厳粛さを強要していません。解釈内容も言葉の羅列ではなく、物語性のある文章で記されており、初めてタロットに触れる方を意識しています。占星術などとの関連にも触れられており、様々な人に取っつきやすい構成に仕上がっていると感じました。「これからタロット占いを始めたい」という人や、「気軽に持ち歩けるデッキが欲しい」という人に、「こういうデッキもありまっせ」と進言したいです。
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●秘密のタロット・カード
著者:アレクサンドリア木星王 出版:西東社 発行:2000年1月25日 ISBN4-7916-0613-2
「2002年12月タロット衝動買い」の第三弾です。存在は知っていたものの、金色の外箱に好感が持てずに、久しく購入する気が起きなかった書籍です。が、昔のA・木星王氏のタロットに感銘を受けた者として、現在の氏の「哲学」を知らずにいるのは失礼だろうと、書店の棚の前で思い立ち、中身を確認しないままレジへ急ぎました。
デッキの構成は、大アルカナと小アルカナの合計78枚です。著者が魔女学校を設立していることもあり、デッキ全体には「魔女思想」もしくは「魔術思想」と表現すべき哲学があります。怪しげな宗教観ではなく、原初的な精霊信仰に近いです。生身の人間の潜在的な意識・能力や、自然の光景に見られる宇宙的真理の働きを、主に描き出しています。
大アルカナは、著者の哲学が表面化されるように描かれているので、抽象的なデザインであれ読み取りやすいでしょう。が、小アルカナはより抽象的というか、魔術的象徴がシュールっぽく描かれているに過ぎず、著者独自の哲学を別著で学んだ人でなければ、解説書を片手に読み解くことになりそうです。
正直言って、「木星王氏の著書は二十年前のほうが良かった」と思いました。魔術という新たな分野に踏み込み、そちらに傾倒していったのだろうと理解はできます。が、タロットそのものに対する研究という点では、さほど広がりも深まりも感じませんでした。特に、小アルカナの数札の「幻想的ではあっても象徴的とは思えないデザイン」を見た時、魔女学を志さない者を突き放している印象すら感じました。カードは厚めのプラスチック製で、繰り返し使用しても大丈夫そうだけに、「魔術はこういう点がユニークだよ」とか「この象徴は魔術ではこういう意味を示すんだよ」といった、魔術初心者すら取り込もうとする意欲を解説書から感じられなかったのが、とにかく残念でなりません。
「弦エニシのタロット占い」と「秘密のタロット・カード」の外箱は、金ピカです。サイズもほとんど同じです。積み上げておくと、どちらがどちらだか判らなくなります。
個人的に、金ピカって好きじゃありません。成り金主義というか、物欲を強く感じさせる色だという思い込みがあるんです。同じ金でも、光沢を抑えた感じの金のほうが、まだ好きになれます。前者の書籍の影響で、その思い込みが一層強くなりました。今後、外箱が金色のデッキの購入を敬遠することになりそうです。
後者の書籍は、個性は強いものの、前者のように物欲的ではないので安堵しました。が、かつてウエイト版を忠実に再現し、詳細に至るまで解析していた方が執筆されたことを思うと、時の流れを感じずにはいられません。伝統的なデッキの研究に留まらず、さらに飛躍する思想・哲学は興味深いです。木星王氏の示した「道」もその一つとして成立しており、目を瞠るものだと思います。
同じ「伝統」に追従していながら、まったく異なる「道」に進んだ2デッキを並べて拝見していると、人の心の奥深さというか、未知数の部分の如何に大きなことかと、溜息をついてしまいます。それと同時に、我が身を振り返り、私という心の奥底の未知数が探し求めているものは何か、見つめ続ける努力の必要性を実感します。
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●UNIVERSAL WAITE TAROT DECK著者:Stuart R. Kaplan、Pamera Colman Smith、Mary Hanson-Roverts 出版:U.S.Games 発行:1990年 ISBN0-88079-496-8
前述の「The Original RIDER WAITE TAROT PACK」と一緒に発注したにもかかわらず、2003年2月上旬まで入手できませんでした。理由は、すぐに「人気があるからいつも品薄なんだ」と理解できました。
いいんですよ、このデッキ。すっごく好印象です。
ウエイト版のオリジナルを作画したPamera Colman Smith女史の絵に、Mary Hanson-Roverts女史が彩色するという手法で作成されたデッキです。そのため、構図などはウエイト版に忠実です。詳細な部分まで見れば、簡略化されていたり、多少の違いはあるでしょうけれど、気になりません。何より、色鉛筆(もしくはパステルか?)で彩色することにより、原色部分すら柔らかな雰囲気に仕上がっています。「最も原本に近いフェミニンなデッキ」と言って良いと思います。
ちなみに、カードケース内に解説や解釈を記したブックレットも同梱されていますが、当然英語です。内容的には、Pamera Colman Smith女史の紹介と、デッキを製作した主旨、各カードのキーワードの列記、ケルト十字スプレッド(このブックレットでは「テン・カード・スプレッド」と表記)の説明のようです。他にウエイト版に忠実な日本語の解説書を持ち合わせているのなら、そちらを参照したほうが早いでしょう。
それにしても、ようやくこのデッキを入手する私って、とことんひねくれ者というか、無知だか無頓着というか、占師を志さなくて正解だったと実感しています。
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●THE QUEST TAROT
著者:Joseph Ernest Martin 出版:Llewellyn 発行:2003年初版 ISBN0-7387-0195-5
2003年「一目惚れ衝動買い」第一弾のデッキです。発売元のLlewellyn社の新製品コーナーで見つけ、海外サイトでカード画像を確認し、ネット書店で取り扱っているのを確認した途端、カートに入れて清算していました。
写真やイラストにCGで作成した人や物、象徴を組み合わせた絵柄です。幻想的とか空想的なデザインで、シュールで漠然としたイメージが描かれています。この点は前述の「Ananda Tarot」に似ています。が、画面に詰まった情報量は非常に多いです。タロットとして最も大切な絵画部分だけでなく、それを飾る周囲のフレームにも、惑星記号、星座記号、ヘブライ文字、ルーン文字、易記号、パワーストーン、頭髪・瞳・肌の色、時間帯、可能性の度合いなど、カードごとに必要と著者が判断した情報がぎっしり詰められています。全部を覚えなくても占いはできるでしょうが、非常に好奇心をくすぐられる要素ではあります。
こうしたことからも察しられるとおり、著者は従来のタロット、特にウエイト系のものに物足りなさを感じていたらしく、前出の要素を織り込むと同時に、大アルカナの一部や宮廷カードの名称を変更してもいます。中でも、「世界(The World)」を「The Universe」と変更し、さらに「The Multiverse」というカードを追加しています。他の名称の変更の仕方にも、錬金術とか魔術的な要素を感じるデッキです。
個人的には、著者が何を考え、タロットに何を求めて膨大な情報を詰め込むことにしたのか、その振り分け方の基準は何だったのか、非常に興味があり、ぜひ和訳してみたいものです。が、なにぶんにも先客が多すぎますから、和訳の開始は相当先のことになりそうです。
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●the Fey tarot
著者:Riccardo Minetti、Mara Aghem 出版:Lo Scarabeo(英語版発売:Llewellyn) 発行:2002年初版 ISBN0-7387-0280-3
「あれ? どこかで見たような気がする…」と、2003年初春に話題になったディズニーアニメ映画のテレビCMを眺めながら思いました。「リロ&スティッチ」という作品でした。そのキャラクターの雰囲気と、このデッキに描かれる妖精達の雰囲気とが、割と似ています。具体的には、顔立ちとか、鼻の形とかでしょうか。「リロ…」はアカデミー賞ノミネート作品だそうですが、私にとってはこのデッキのほうが先に目に留まっていました。
レビューサイトで見かけた際、基本的に欧米のアニメ調の絵柄(ディズニーアニメみたいな絵柄)も苦手なので、購入することはないだろうと思いました。が、色鉛筆かパステルを使って描かれた柔らかい印象と、どこか心憎い皮肉っぽさのあるデザインに誘われました。カードのフレームの向こう側で、悪戯好きな妖精がこちらをちらちら見ながら笑っているような、そんな感じがするんです。
デッキ名の「Fey」というのは、製作者の名前ではなく、どうやら「妖精」という意味のようです。解説書が英語なので、まだ読んでいないんです。いずれ、それも相当先のことですが、和訳しようと思います。
話を戻しまして。
このデッキには、小アルカナの数札に至るまで、妖精達が登場します。ウエイト版に基づいているようですが、独特な皮肉めいた解釈も加えてあるらしく、構図・意匠・象徴など、ほぼカード全面が個性的です。が、基本的に妖精達は活動的に描かれており、「彼らが何をしようとしているのか」を想像することが解釈の基本になっているようです。但し、そうした性質上、スート象徴が数札の数字と同じだけ描かれているわけではありません。あくまでも、妖精達が主人公です。皮肉とも思える悪戯っぽさという要素が無ければ、初心者にも勧められるデッキだと思います。
幸か不幸か、英語版の発売元はLlewellyn社ですが、出版元はLo Scarabeo社であるので、デッキケースはカードのサイズに合わせてあります。解説書とセットの場合、外箱は少し大きめですが、破損しづらいようにされています。カード自体の質も、紙製品にしては悪いものではありません。占いに使うのであれば、丁寧に扱うよう気遣う必要はあると思いますけれど。
アメリカのLlewellyn社とイタリアのLo Scarabeo社の刊行するタロットには、ちょっとした共通点があると、私は感じています。それは、どちらも「女性をターゲットにしている印象の商品が多い」という点です。
まぁ、占いを好むのは男性よりも女性のほうが多いでしょうから、当然ではあるのですけれど。それにしても、デッキの雰囲気とかパッケージの装い方とかが、女性好みなものが多い気がします。
例えば、同じ「竜をモチーフにしたデッキ」にしても、U.S.Games社の「DRAGON Tarot」は輪郭線が太く、原色を多用し、竜そのものも爬虫類的な、どこか男性的な印象の強いデッキに仕上がっています。が、Llewellyn社の「The Celtic Dragon Tarot」は柔和なタッチ、淡い色使いやグラデーションが印象的で、竜そのものも穏やかな様子で描かれており、全体的に優しげな雰囲気のデッキだと感じられます。
また、「ウエイト版をよりシンプルな印象に仕上げたデッキ」である「Winged Spirits Tarot」(U.S.Games社)と「Tarot Art Nouveau」(Lo Scarabeo社)にしても、とことん意匠や象徴を削除し尽くした上にシャープなデザインを用いた前者と、意匠や象徴を背景模様に組み込んだ上でたおやかな曲線を駆使して美術的に仕上げた後者といった具合です。
但し、Lo Scarabeo社はウエイト版のオリジナルを少なからず意識しており、Llewellyn社は多少ウエイト版を無視してもタロットそのものに神秘性や魔術性を組み込みたがっている、そんな印象も私は抱いています。
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●神秘のタロット占い
著者:沖門土、海界めい、ニイクラ和美 出版:実業之日本社 発行:2002年7月27日第8刷 ISBN4-408-39360-6
2003年になってから、近所の書店がタロット関係の商品にもビニール袋をかけるようになりました。おかげで、カードはもちろん、解説書の中も確認できなくなりました。好みのデッキか判らないまま買わねばならなくなり、残念です。だから、ちょっと購入を控えていたのですが、何ヶ月も棚に並び続けるこの書籍を見て、「私を待っててくれるのね〜!」と思うようになりました。しかも、同著者のデッキを所有しており、悪い印象を抱かなかったことを思い出し、レビューサイトを参照することなく、購入しました。つまり、「著者を信頼した」わけです。
カードそのものはコーティングされた紙製で、少し断裁面が粗いのが気になります。何年も毎日使用するには向かないのではないか、と思いました。まぁ、私はそこまで酷使しないので、大丈夫でしょうが。
デッキ構成は大アルカナ22枚のみで、ウエイト版の持つ意味をさらに厳選し、現代風にアレンジした意匠が凝らされています。カラー印刷なのですが、華やかに彩るのではなく、各カードに最低限必要な色を出しゃばらないように使用しています。そのため、デッキ全体を通して主役を演じている色は、白と黒という印象を受けました。特に、白色の使い方に好感を抱きました。「虚空は決して闇ではないかもしれない」と思うほどに。
ペンタッチはシャープで細く、決して動的な印象の絵柄ではありません。華やかさや愛らしさではなく、現代的と表現するべき雰囲気です。意匠や象徴が幾何学的な形を作っているためかもしれません。しかも、製作者の意図するもの以外は徹底的に排除されているので、描かれている意匠や象徴に「目」が自然と向かいます。個人的には、白い空間にも注目し、自分ならそこに何を描くか想像することで、さらに解釈を深められそうな気がします。
解説書にはカードごとに詳細な意味が記されていますが、解釈の仕方のヒントも別章にあり、読み手の想像力を刺激するよう努めています。それを読み、独自の解釈に挑戦することで、誰でも初心者マークを外せるのではないでしょうか。
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●瞑想タロットの秘法著者:沖門土、海界めい、ニイクラ和美 出版:実業之日本社 発行:2000年12月22日初版第1刷 ISBN4-408-39467-X
前記「神秘のタロット占い」と一緒に購入した書籍です。「神秘の…」がウエイト版の意味を厳選し現代風にアレンジしたデッキなら、こちらは中国の神話・逸話・哲学を組み込んだ挑戦作といった感じです。
カードは実業之日本社らしくコーティング紙を用いており、何年も繰り返し使用するには少し不安を感じさせるものの、入門したての人が本格的に取り組むまでの練習に使用する分には問題ないと思われます。
デッキ構成は大アルカナ22枚に護符2枚を加えた24枚です。占いには護符を使いませんが、1枚は壁に、1枚は占う時にテーブルに、それぞれ安置することを筆者は奨めています。どのカードもシャープなラインで描かれており、不必要な描き込み・彩色を省いてあるので、さらにシンプルな印象を抱かせます。絵としては動きを感じさせるものよりも、写真のように静止した一瞬を感じさせるもののほうが目立ちます。これらは、このデッキが占いに用いられることよりも、護符として飾られることを重く考えて作られたためと思われます。実際、解説書には占い方よりも多くのページを、願望成就のための護符としての組み合わせに費やされています。カードの裏面が金地に青い竜という、占師に少し毒々しい印象を抱かせそうなデザインになっているのも、護符としての効果を上げるためではないでしょうか。
カードそのものに神秘性を持たせているという考え方には賛同しかねますが、これらは面白い企画だと思います。西洋文化の一面と思われがちなタロットに、中国4千年の文化を取り入れ、風水などにも触れながら、読者の視野を広く持たせるのに効果的だからです。ただ、私個人としましては、一口に中国の文化と言っても、多くの民族一つ一つが異なる文化を持ち込んだことや、長い歴史を支えた思想・哲学が一つではないことを、もっと考慮してほしいと口惜しく感じました。せめて、取り入れた哲学や神話の出典を明らかにし、参考文献として巻末に掲載してもらえたら、この書籍はより広く深い内容になったのではないかと…。とは言え、東洋思想を反映させた日本産タロットとして、充分役目を果たしているのではないでしょうか。
唯一苦笑してしまったのは、「護符として飾るカードは、占いに使用していないものから選ぶべし」(つまり、もう1デッキ同じものを購入しろってことですね)と、解説書にあったことでしょうか。
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●タロット式占いカード
著者:? 出版(?):サントリー 非売品
正式名称は「『なっちゃん!』オリジナル恋占いシリーズタロット式占いカード」という、ジュースの2リットルボトルについていた販売促進用グッズ(おまけ)です。おまけと呼ぶに相応しく、カードそのものは小さく、コーティングされた紙製で、大アルカナ22枚です。象徴などは省き、カードの名称を冠する人物が一人ないし二人、じつにシンプルに描かれているだけのものです。
が、侮るなかれ。あながちタロットを知らない人が作ったわけではなさそうです。シンプルかつ可愛い人物画という気安さや、現代日本人にピンとくるユーモア性も込めているのに、ちゃんとデッキとしての纏まりがあります。
残念なのは、万人に受け入れられやすい優れたデザインを施した描き手が何者で、このデッキを「タロット」とせず「タロット式占いカード」と命名した解説者が何者か、不明なことです。解説書(用紙1枚)には、伝統だの格式だのに拘らない解放感がありながら、占いに必要な要素をちゃんと記してあります。カードの出来栄えと言い、熟練者の仕事だと思うのですが…。
収納ケースは保存用というより、携帯用と考えるべきでしょう。が、余裕がありすぎて、どちらにしろくしゃけ易いと思われます。使用目的用の他にもう1〜2デッキ、予備として入手しておいたほうが、良いでしょう。運が良ければ、数百円の支出で済みますし。ちなみに、同販売促進用グッズとして、12面ダイス×2、トランプ、コイン×3があります。どれも中世ヨーロッパから現代にかけて占いに用いられている道具ですから、企画者の中に相当なマニアがいると推察されます。それを確かめるためにも、私はぜひ全種類入手してみたいと思っています。
ともあれ、まずはこのデッキを使い込みたいですし、
ネタバレチックな自己流解説文を作ってみました。
この販促グッズのシリーズのダイスを、入手しました。12面ダイスで、オレンジとグリーンの2色が1個ずつの、2個セットです。各面に1から12まで数字が書いてあり、6や9には下にちゃんと線が入っていて区別できるようになっています。女性にも使いやすい大きさですし、透明なので見た目にも可愛い印象があります。
このダイスを使った恋占いの解説書が、ちゃんと同梱されているのも嬉しいです。が、全部を暗記するのは大変そうなので、ふと思いついたaim流占い方(と言っても、伝統的なやり方の一つかもしれない)に使うことにしました。
用意するのは、12面ダイス2個(色は不問)。やり方は、占いたいことを思い浮かべながら、ダイスを転がすだけ。出た数字を合計してから2を引いて、同じ数字のタロット(大アルカナ)の絵を思い出すというものです。合計してから2を引くのは、ダイスの目にゼロがないからです。このやり方だと、0番の愚者から21番の世界までの大アルカナを網羅できますし、ワンオラクルと同じ感覚で占えます。「22」になった時は…やり直すか、愚者だと考えるかにしましょう(苦笑)。個人的には、「The Quest Tarot」の「Multiverse」でも良いかと思いますが、苦しいですね(笑)。ともあれ、雨の日などカードを持ち歩きたくない時とか、同じ色のダイスだけが手元にある時とか、タロット愛好家には手軽にできるかな〜と思います。
もちろん、付属の占い方も興味深いです。入手された方は、ぜひ試してみましょう。
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●はじめてのタロット
著者:鏡リュウジ、荒井良二 出版:ホーム社(発売は集英社) 発行:2003年6月10日第1刷 ISBN4-8342-5086-5
私は、1968年生まれです。思春期の真っ只中という時期は、「世紀末まであと10年」という頃でした。同世代の人なら、ノストラダムスだのグランドクロスだのといった、オカルト関係の用語をたいてい5つは言えるのではないでしょうか。それぐらい、漠然とした世紀末への不安や興味の高い風潮を体験してきました。そんな中、私は「魔女」を瞬間的であれ志し、すぐに諦めざるを得ませんでした。これを踏まえて、以下をお読みください。
鏡リュウジ氏も、1968年生まれだそうです。私は、1年ほど前にこの事実を知りました。彼の名前だけなら、女性週刊誌の星占いのコーナーなどで既に知っていましたから、かなりショックでした。実家が美容室である都合上、小学生の頃から女性週刊誌を読む機会がありました。「こんな雑誌を読んでいる私って、早熟だよなぁ」と思ったものです。その雑誌に起用されていた占師が、自分と同い年だったと知り、魔女志願者だった私を打ちのめしたわけです。しかも、数カ月前には、同じ雑誌の記事で、鏡リュウジ氏が魔法学校(通信制もあったらしい)に入学していたことや、雑誌に寄稿し始めたのが高校在学中だったことを知り、再びショックを受けました。自分がいかに「井の中の蛙」であり、そこに甘んじていたか、思い知らされたわけです。悔しくて、今まで鏡氏の書籍は1冊も購入していませんでした。
しかし、この書籍を店頭で発見した時、私は自分に「1度も読んでいないのに悔しがっているのも変だろう」と言われた気がして、購入を決めました。どんなオカルティストが解説しているか、確かめてやろうと思い立ったのでしょう。
結果は、予想以上に理性的で、カードの扱い方についても、占いのシステムについても、神秘性を訴えるのではなく、常識と良識に基づいた内容でした。カードの解説についても、きちんと各カードの絵を見た上で特徴を指摘し、意味を断定することは決してなく、使用者の解釈にヒントを与えるように書かれています。しかも、書名のとおり「はじめて」の人を使用者に想定してあり、まるで絵本を読み聞かせしてもらっているかのように、分かりやすい文章でした。
肝心のデッキそのものは、大アルカナ22枚のみの構成で、デザインは子供向けの絵本のようなタッチです。どれもクレヨンで描かれたように、ビビッドで開放的な、象徴も意匠も最低限に絞り込まれたシンプルな絵です。私としてはじつは好みではなかったのですが、実際に手に取り、眺め、解説を読み、また眺め…としているうちに、「このデッキはこの絵だから好ましいんだ」と納得してしまいました。見えるがままを描いた絵より、感じたままを描いた絵のほうが、他人に訴えかけてくるのと同じです。
口惜しいですが、鏡氏にも荒井氏にも感服しました。私の中の幻想世界を広げてくれた、1冊です。
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●TAROT OF THE NEW VISION
著者:Pietro Alligo、Raul、Gianluca Cestaro 出版:Lo Scarabeo 発行:2003年 ISBN8-8839-5299-5
世界で最も有名で、最もアレンジ版の多いタロットは、ライダー・ウエイト版でしょう。タロットと言えばライダー版をイメージする人がほとんどではないでしょうか。
このデッキは、そのライダー・ウエイト版に最も忠実でありながら、まったく異なる視点に立った、とても興味深いものです。世界で最もメジャーなデッキを、「反対側から見たらどうなるだろうか?」というスタンスで作られているんですから。極めて意味深長なカードがコミカルに転じていたり、動的な印象のカードの続きが描かれていたりと、眺めていると妙に納得できる微笑ましさがあります。本家ウエイト版では中心として描かれていた人物達よりも、彼らを見つめていた誰か(そこには私達も入るでしょう)が今度は主役になり、風景とともにウエイト版の世界に新たな一面を加えている。そんな感じがします。とにかく、「こんなのあり?」と思わず言いたくなること、請け合いです。
カードの意味自体は大幅に変更されていないようですが(じゅりあんさんのサイト「月のかがみ」に和訳が掲載されています)、占いに使用する時にはきっと新たなインスピレーションが与えられることでしょう。また、ただ眺めているだけの私のような収集家にとっても、良い刺激になるデッキです。「もう覚えちゃってるし〜」などと言わずに、本家ウエイト版と一緒に並べて楽しみたいものです。
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●Leonardo Da Vinci Tarot
著者:Iassen Ghiuselev、Atanas Atanassov、Giordano Berti、Rodrigo Tebani
出版:Lo Scarabeo 発行:2003年 ISBN0-7387-0409-1
天才レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた絵画・図画を、ウエイト版に当てはめてアレンジしたデッキです。大アルカナも小アルカナも、78枚全てが絵札になっています。しかも、ダ・ヴィンチの描いた元絵を思わせる緻密なタッチで描かれています。中には解釈しづらそうなカードもありますが、科学と哲学の融合したような図が小物にあしらわれていたり、背景に天才の創作した飛行機が飛翔していたりして、美術品あるいは天才の足跡として眺めるだけでも興味深い内容になっています。
しかも、このデッキは作画も監修も二人ずつ担当者がいるという点にも、驚かされます。大アルカナはIassen Ghiuselev氏が作画し、その後、数年を経てから、Atanas Atanassov氏が小アルカナを作画したようです。監修のほうも、歴史や概念に関する部分はGiordano Berti氏が書き、各カードの意味はRodrigo Tebani氏が担当したともあります。この事実を知ったのは、お恥ずかしいことに購入した時ではなく、2年ほど経て「タロット13番地」の記事を書くべく、担当者の確認のために箱に入っているブックレットの奥付を読み直した時です。アルファベットで書いてあると、私は適当に固有名詞だけを追いかけているのが、バレバレですね。それでも大アルカナと小アルカナと並べて見ても違和感が無いほど、作画担当者諸氏のダ・ヴィンチへのこだわりが篭っているなんて、本当に凄いと思います。
ちなみに、上記ISBNの商品は、カードと同梱ブックレットの組み合わせです。ネット書店によってはハードカバーに分類されていますが、解説書は別冊ではないのでご注意を。また、同梱ブックレットは英語、イタリア語などのヨーロッパ6言語で記載されています。
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●Angel Voices
著者:Laura Tuan、Antonella Castelli 出版:Lo Scarabeo 発行:2003年 ISBN0-7387-0416-4
タロットカードの画像をネットで探していると、稀に出版社のサイトの片隅で眠っている未発表デッキの画像を見つけることがあります。このデッキのカードは、私はそうして知りました。一目惚れでした。
女性的な柔和さと逞しさとを秘めたタッチ、淡い色使いで、カード1枚ずつに1人の天使が描かれています。そのカードが全部で80枚。既存のタロットとは完全に関与していないため、セット売りの書籍の解読は必須です。が、そんなことをさっ引いても、購入する価値はあると天使好きな私は判断し、即座に予約を入れました。想像してみてください。背に翼のある美しい人々が、自己の個性を示すアイテムを抱えて描かれているのです。しかも、全部異なる天使が描かれているとあれば、ファンタジーが好きな者には堪らないではないですか。
前述のように、このデッキは既存のタロットとは無関係な、「オラクルカード」です。また、天使が描かれているだけなので、絵柄だけから解釈するのは困難です。セット売りの解説書(英語)を解読する必要があります。ただ眺めるだけでも充分楽しめる美しい絵柄ではありますが、いつか訳してみたいと思っています。
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●Spirit of Flowers Tarot
著者:Laura Tuan、Antonella Castelli 出版:Lo Scarabeo、Llewellyn 発行:2003年 ISBN0-7387-0411-3
2003年夏に通い詰めた海外レビューサイトに、このデッキのレビューがいち早く掲載されました。画像を見た時、衝撃的でしたね。リアルな花々に、活き活きとした子供然とした精霊達が戯れているという、無邪気なカードばかりでしたから。花を見るのは好きだけど、おとぎ話は好きだけど、子供はあまり好きではない私にすら、一人ずつの子供が可愛らしく感じられました。2003年夏の一目惚れデッキの最たるものでした。
78枚のカードすべてが絵札です。基本的に、全部異なる花が描かれています。が、小アルカナのみはスートごとに描かれている花の色が定められており、それをしてスートの区別とするようです。また、各カードの意味には花言葉が大きく影響を及ぼしているらしいので、何とかして同梱ブックレットの英語を訳してみたいと考えています。既存のタロットの知識に振り回されず、花言葉に興味のある人にはおいしいデッキだと思われます。
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●THOTH TAROT DECK
著者:Aleister Crowley、Lady Frieda Harris 出版:U.S.Games 発行:1978、1983年 ISBN0-913866-15-6
ようやく手に入れました、トート版。「世界一禍々しいタロット」と噂されたり、「魔術関係の知識が無いと駆使できないデッキ」と評されたりしていたので、私如き浅学者が入手してはいけないのではないかと思っていました。が、入手してしまえば、もう私の愛人ですし、じっくりと一枚一枚堪能させていただきました。
魔術的な要素も多分に含まれているのでしょうが、知識の薄い私から見れば、「非常に動線を意識した躍動感のあるシュールレアリズム的幻想絵画」だと思えました。「死神」や「塔」などショッキングなカードは禍々しく演出し、「星」や「太陽」など明るいカードは美しく演出されています。全体的に見れば、コンピュータを駆使せずに描かれたシュールな絵画という印象が強いのではないでしょうか。
もっとも、魔術的な要素を感じる部分も多々あります。小アルカナのコートカードの構成が、「ペイジ・ナイト・クイーン・キング」ではなく、「プリンセス・プリンス・クイーン・ナイト」となっていることも、クロウリー独自の魔術的な観念に基づく変更だそうです。が、私には「キングはこのデッキを駆使する貴方だ」と言われている気がします。使用者が「キング」という絶対者であるという見立てだと考えると、このデッキは単なる占いの道具というより、魔術を駆使するための道具あるいは教本ではないかとさえ、思えます。
少し大きめのサイズのデッキを購入しましたが、適切だったと思います。私は占いに使用しませんし、カードの細部にまで目が行くので。結果、「上記ISBNの品は占いカードとしては大振りですよ」と忠告も書けますし。それ以上に、眺めるには適したサイズだし、いろんな発見もあったのが嬉しいです。既にご紹介しているデッキのうち、「DRAGON TAROT」とか「The Quest Tarot」などがトートのアレンジデッキだったのだと、これで解りましたし、「世界一の禍々しさ」が私には「幻想的な絵画」に見えることも解りましたので。大判でも買って良かった。そう思います。
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●天使のタロット占い
著者:マリィ・プリマヴェラ 出版:成美堂出版 発行:2002年10月20日 ISBN4-415-03932-4
タロットの書籍にしては安価な一冊です。表紙などの雰囲気からも、若年層がターゲットだと分かります。事実、カバー折り返し部分には、「お年頃のあなたに贈る」などとあって、「お年頃」でない私にはくすぐったい感じがしました。
ならば、なぜ購入したかと言いますと、「天使の」とわざわざ銘打ってあるのが気になったからです。タロットと天使とがどうやって混在しているのか、見たかったからです。
上記の「Winged Spirit Tarot」のような天使が演じるタロットを想像しましたが、違いました。付属(と言っても、本の一部になっており、ミシン目で切り取るようになっています)のカードは、大アルカナ22枚と、天使カード8枚、その他おまじない用らしきカード6枚という編成です。占いに用いるのは、大アルカナと天使カードのみです。この両者、描き手が明らかに違います。完全に混在させて用いるわけではないから、それでも構わないのでしょう。とりあえず、大アルカナに対する感想のみに限らせていただきます。
案外良いです。ウエイト版に基づいている現代アレンジ版といった趣きです。そのアレンジの仕方も、最近の「お年頃」の少女達にも抵抗を感じさせないような、適度にメルヘンチックな、適度にファンタジックです。それでいて象徴的な意匠を外すことなく、そちらへ目を向けさせるようになっています。案外「やるなぁ」と思わせる出来です。それだけに、当然使用されることを前提に作ってあり、書籍から切り取りやすいようにミシン目は深くつけられています。紙質も、そこそこ良いものを選んでいるようです。何より感心したのは、切り取ったカードを保管するケースの素材も同質の紙で用意されていることです。使ってもらうことを前提にしたサービスは、なかなか行き届いています。
解説書には、フランクな問いかけ口調や、ほんわかとした印象のカットが満載です。「生まれて初めてタロットを手にして、片思いがうまくいくか占ってみたいの」というタイプの少女には適している書籍でしょう。ぜひとも、カードやカードケース素材を丁寧に切り抜き、大切に使いこなしてみてください。
ちなみに、aimは「お年頃」をとっくに過ぎてしまってますので、カードは巻末に綴られたままの状態で眺め、占いをせずに画面のみを堪能することにしました。悪しからず。
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●不思議の国のタロット
著者:久我山夏女、のび 出版:EAST PRESS 発行:2003年11月8日(雑誌「恋運歴」付録)
雑誌「恋運歴」の綴じ込み付録の一つですが、結構しっかりした紙を用いているので、切り取り方さえ失敗しなければ、そこそこ使い込めるのではないでしょうか。私は切らずに永久保存しようと決めましたが。
デッキとしては、大アルカナ22枚のみの構成です。雑誌記事の解説のほうはウエイト版に基づいてなされていますが、カードは独創的な絵柄です。セピアチックな配色、シンプルかつシャープなライン、何より動物(特に鳥類)をモチーフにしていることで、一応ベースであるはずのウエイト版よりも遥かに幻想的なデザインに感じられます。寓意的というよりは、象徴的と言ったほうが良いでしょう。「ああ、なるほど、こういう表現もできるのか」とか、「ここまでシンプルにできるのか」と感心できるカードも少なくありません。たかが付録と侮るなかれ、です。使い込んでみる人にとっては、きっと相応に堪能できる出来栄えだと思います。
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●22枚で占えるタロット・カードブック著者:上田麻結 出版:主婦の友社 発行:平成12年6月1日 ISBN4-07-228387-8
国内出版社のタロットの中で、読破に時間がかかった一冊でした。内容が難しいわけではなく、私には納得しかねる解説や用途説明が多かったからです。ウエイト版を基に構成していると謳っているものの、著者独自の観念が強く出ている気がしました。リーディングの際に参考にしてみるのも良いかと思いましたが、一度「このカードについて、どうしてこういう解釈結果が出てくるの?」と疑問に感じてしまうと、それに答える記述はほとんどないため、読み進めることが辛くなってしまいます。「経験上こういうリーディングをする占師もいるのか」程度に留めて、一参考書として考えるべきだと思いました。
で、肝心のカードですが、正直なところ、使えません。書籍に綴じ込みになっていますが、切り取り線が印刷されているのみで、切り取りには相当なテクニックを要すると思われます。また、無事に切り取れたとしても、紙質は悪く、カードと呼ぶには薄くて脆いため、シャッフル時にくしゃける恐れがあります。故に、私は切り取って使用するのを断念しました。
絵柄そのものは、ウエイト版に少しアレンジを加えた水彩画タッチで、絵本のようなほのぼのとした感じがあります。個性や魔術的な要素が強烈なわけではないので、タロット入門にはちょうど良さそうな絵柄だと思います。それだけに、カードとして使用に耐えない紙質が残念でなりません。
それはさておき、この書籍の巻末に、カードを神秘的なものとして扱い、お守りにする方法などが記されています。が、私はカードに魔力を感じることもなければ、お守りを作る日にちに拘ったりする必要を感じません。なので、この部分に関するコメントは「苦笑」に留めさせていただきます。
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●The Golden Dawn Tarot
著者:Robert Wang、Israel regardie 出版:U.S.Games Systems 発行:1978年 ISBN0-913866-16-4
タロットの系統について知ろうとした時、どうしても外せないだろうと思ったのが、ウエイトとクロウリーの所属していたという「黄金の夜明け団」なる秘密結社のタロットでした。秘密結社と言っても、神秘学について議論する集団、と考えるべきみたいです。当時のヨーロッパでキリスト教が絶対視されていなければ、呼び方ももっと違ったものだったのではないでしょうか。
上記程度の知識しかない私ですから、あまり期待しないでこのタロットを購入しました。が、これが結構興味深いんですよ。
大アルカナ22枚、小アルカナ56枚の構成は今では一般的です。大アルカナは多少寓意的でもありながら、背景や象徴などが少なく、メインは人物です。そういう点はトート版に近いのですが、人物のポーズはマルセイユ版やウエイト版に近かったりします。小アルカナはほとんど数札と等しく、コートカードは「King」「Queen」「Prince」「Princess」と命名されていますので、こちらはトート版に極めて近いと言えます。こうして見てみると、このタロットはマルセイユ版に魔術的な象徴を取り込んで製作されたものであり、このタロットを基にしてウエイトとクロウリーの二人が独自のデッキを製作していった、という歴史が感じられます。
細かな部分まで見ていけば、きっと各系統に通じる個所が見つかるだろうと思います。そういう意味で、このデッキは「タロットを勉強したい人にはかなり価値あり」というものだと言えるのではないでしょうか。
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●ステラ薫子のシンプル・タロット著者:ステラ薫子 出版:扶桑社 発行:2003年12月10日 ISBN4-594-04273-2
2004年1月中旬、雑誌「恋運暦」の付録がまたタロットらしいと聞き、私は書店に駆け込みました。目指した棚には、既に雑誌は無く、がっかりしました。せめて居並ぶ占い書籍を見て気分を紛らわせようと思い、占いコーナーに足を運びました。行きつけの書店は、こうした趣味の分野の書籍も手広く扱ってくれており、占い本好きな私にはほくほくできる一角になっているのです。そのほくほくできる一角に、さり気なく並んでいたのが、この書籍でした。外観は、水色のカバーで、名前どおりのシンプルな装いに、ゴシック書体で「シンプル・タロット」と書いてあります。「はは〜ん、これは店員の誰かが仕掛けた、私(みたいなマニアな客)専用の罠だな?」とにやりとしながら、堂々とレジへ運びましたとも。こういう罠には引っ掛かっておかないと、店の売り上げに貢献できないジャンルとして占い書籍が見なされたり、その結果入荷数が減少してしまったりしますからね。…と、書店の内情はともかく。
デッキ構成は、22枚の大アルカナのみです。「力」のカードが11番目に移動して「奇蹟」と改名されていること、「正義」のカードが8番目に移動していることを除けば、基本的にウエイト版に近い印象を受けました。が、デザインは人物重視の傾向が強いです。それ以上に、落ち着いた雰囲気と質感を持つ油彩風のタッチが、幻想世界を静止画に収めたような印象を与えてくれます。最初は「このカードとは馴染めないかも…」と思いましたが、時間をかければかけるほど、人物のふくよかな質感に現実味を感じたり、頭と体のバランスの奇妙さに微笑ましさを感じたりして、どんどん心開いて眺めることができるようになりました。多分、作画担当の宝永たかこ女史が絵本などを手がけている画家であることと、大きく関係しているのでしょう。
書籍名にシンプルと謳っているだけに、このカードでの占い方はワンオラクル(カード1枚で占う展開法)のみとされており、解説書のほとんどがカードの意味やリーディングサンプルです。特に恋愛運、中でも「ちょっとアダルト」の女性が使用することを想定してあるらしく、恋人との付き合い方や相手の気持ちの察し方などに言及してあります。それ以外の健康運とか総合運などに関しては、解説が少ないことが気になりました。また、カードを毎日使用することを前提にしているために、ケースは保存のためのものではありません。最低限、書籍とカードがバラバラにならないようにしているだけです。そうしたことから察するに、このデッキは、結婚を意識する年齢の、つまりある程度大人の女性が心落ち着かせて自分の恋愛がどう進むか、占うための書籍だろうと思います。
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●天使ミトラの恋愛タロット著者:東條真人 出版:国書刊行会 発行:1996年2月7日 ISBN4-336-030805-8
多少なりとも神仏に興味のある身ですから、この書籍のタイトル「天使ミトラの」という部分に惹かれ、ネット書店で購入しました。買ってみて、驚いたことがありました。
一つ目の驚きは、デッキ。22枚の大アルカナのみの構成で、名称から伝統的なウエイト版に近いかと思いきや、独創的な解釈をしたカードがほとんどです。どれも基本的に少女漫画タッチで描かれており、使われている色彩も明るく軽やかで、好感が抱けます。カードそのものは、包装がピッチリし過ぎてくっつきあってしまうほどのコーティングが施され、質は良いと言えるでしょう。
二つ目の驚きは、解説書です。前述のとおり、独創的な絵柄のカードが多いので、解説書は必読でしょう。但し、この解説書がなかなか曲者です。「ミトラ教」という宗教の観念に基づいているデッキであり、解説書にもその宗教観が活かされているのですが、まるで目隠しをして象に触るような感じで、なかなかミトラ教の全体像が把握できません。心底このデッキに傾倒し「ミトラ教」に入信するぐらいの人ならともかく、そうでない者にはちょっと理解しがたい点もあります。
私は個人的には、宗教哲学とか嫌いではありませんし、根源的には宗教は1ないし2の流れに纏まるだろうと空想もします。が、現代となってしまっては、幾つもに分派した宗教を逆に辿って根源に行き着くことは、まず不可能です。また、著者が絶対視しているミトラ教こそがその根源とは、決して限りません。あくまでも、「一宗教」として捉えるだけの控えめさが、解説書を読む時にも必要だと思います。
それを差し引いても、この著書は、まるで「ミトラ教の布教活動の一環のために製作されたもの」に感じられました。「ミトラ教の肝心な部分が知りたかったら入信するか他の著書を買ってね」と、婉曲に言われているような気がしてなりませんでした。そこで、インターネットで「ミトラ教」を検索したところ、日本語サイトの内では、やはり著者・東條氏のサイトがほとんどでした。かなりの文字量を費やして長いページが製作されていますので、理解するまでには相当な時間と根気が必要だと思われます。ただ、すぐに分かったのは、この著書の「ミトラ」とサイトに掲載されている「ミトラ」が、容姿は大幅に、性質は若干、異なるということです。やっぱり、宗教や哲学を理解するには、柔軟かつ自立した思考回路が必要ですね。
とりあえず、宗教に傾倒しない自信がある方は、恋愛占い用のカードとして使ってみてはどうか、と思いました。
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●エミールの妖精さんタロット占い著者:エミール・シェラザード 出版:実業之日本社 発行:2000年7月25日12刷 ISBN4-408-39084-4
Amazon.co.jpの書籍販売コーナーで見つけて購入した、「My Birthdayの本」です。表紙が乙女チックで、しかも題材が妖精ですからファンタジックで、読破するまでに何度か、病院の待合室で他の患者さんの視線を集めました。中年太りのおばさんが、可愛らしくメルヘンチックな表紙の本を読んでいるのが、珍しかったのでしょう。
内容的には、なかなかユニークな視点を持った、若い女の子向けの占い書籍だと思います。占いだけでなく、おまじない(多くは自己暗示的なものですが)をも取り扱い、少女の抱える恋や学校生活での悩みを軽くしようとする雰囲気に好感が持てました。
占いカードとしては、ウエイト版の大アルカナのキーワードの一部を抜粋し、それに適応する性質の妖精を充て、独自のカードに仕上げてあります。だから、枚数は22枚ですが、名称と印象は全く違います。伝統的なタロットを勉強したいのならば、この書籍は避けたほうが無難でしょう。しかし、タロットの伝統にこだわらず、しかも妖精に興味があり、メルヘンチックな少女漫画風の絵柄に好感を持てる人なら、一読する価値があるでしょう。
私は妖精関係には疎いので、一部の妖精のみ文献などに登場することを確認しましたが、多くは著者の創作なのか何かの文献に登場するのか未確認のままです。でも、面白く読ませていただきました。これでカードが「本から切り抜く」タイプでなかったら、もっと良かったんですけどね。
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●恋のタロットカード占い
著者:マギー 出版:実業之日本社 発行:2002年7月27日4刷 ISBN4-408-39133-6
Amazon.co.jpの書籍販売コーナーで見つけて購入した、「My Birthdayの本」第2弾です。これも、表紙がかなり可愛いです。男性なら、レジに持って行くのを、ちょっと躊躇うことでしょう。
デッキとしては大アルカナ22枚だけの構成で、ウエイト版に近く、好感や親しみを感じやすいデザインに仕上がっています。色使いも明るく、軽やかな感じです。ただ、「妖精さんタロット占い」と同じく、カードは書籍から切り離す必要があり、専用のケースもありません。万人受けし、使い心地も良さそうなだけに、勿体無い気がします。丁寧に切り離し、紙やすりできちんと仕上げれば良いのでしょうが、切り離すためのミシン目が長めで、ちょっと曲者です。私は不器用なので、切り離すのを諦めました。
解説書は、物凄く短時間で読めます。カードの説明もキーワードも、短く纏めてあるためです。絵柄の説明などを期待して購入する人には、物足りないぐらいでしょう。但し、展開法は独自のものが多く、カードを用いたおまじない(これも自己暗示的なものですが)も掲載されていますので、恋愛を夢見る世代の方々には嬉しい内容かと思います。
それにしても、本当に勿体無いです、カードが綴じ込みになっているのが。ちゃんとカードとして独立していたら、結構愛用者を獲得するだろうと思うほど、好印象のデザインなんですよ。思い切ってもう1冊購入し、切り離しに挑戦してみようかしら…。
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●清水玲子ミラクル・タロット著者:清水玲子、G・ダビデ研究所 出版:白泉社 発行:平成7年3月20日第2刷 ISBN4-592-73121-2
私はミーハーです。でも、若い頃はそれを素直に認めたくありませんでしたし、他人が先に夢中になった物事に対しては靡かないようにわざとしていた、ひねくれ者です。だから、この書籍の著者(というか作画担当者)である清水玲子女史の漫画が話題になった時も、独りそっぽを向いていました。正直に告白すれば、未だに1作も読んでません。
それなのに、どうしてこのデッキを入手したかと申しますと、海外のレビューサイトや通販サイトのサンプル画像を見て、「好みの絵柄や〜ん!」とミーハー心のほうが勝ったからです。いや、すっかりおばさんになった今、臆面もなくミーハー心を丸出しにできるようになったからでしょうか。それとも、ほぼ絶版になってしまったことで、蒐集欲望が刺激されたからかもしれません。とにかく、「欲しいものは欲しいんや〜!」状態になり、某大手オークションサイトで落札して入手しました。落札価格は、忘れてしまいましたが。
デッキ構成は、大アルカナ22枚、小アルカナ56枚の、最も典型的な枚数です。その78枚中、小アルカナの2〜10までの数札以外は、女史の手によるファンタジックで美麗なオリジナル画です。しかも、描き込みの量やタッチから察するに、女史の最も脂の乗った時期の絵ではないかと思います。とにかく、繊細なラインがたくさん、見るからに思い入れを込めて描かれています。それだけで充分、ファンにとっては貴重なアイテムになることでしょう。ところが、私は女史のファンではありませんから、もう少し些細なところまで見てしまいました。栞のように細長いカードなので、さぞや構図に困られたことだろうと思うのですが、心憎いまでに巧みに事物が配置されています。しかも、少なからずタロットについて勉強されたのでしょう、対応しあうカードは一見してそうだと分かるように対比的にデザインされていたり、解釈には欠かせないアイテムはきちんと描き込んであったり、カードによって絵の雰囲気を微妙に変えつつも全体のバランスはきちんと取られていたりと、見れば見るほど「心憎いいい仕事」が目に付きました。漫画家としての自分の絵やスタンスを保ちつつ、こうまで完成されたデザインを仕上げるなんて、本当に「いい仕事」だと思います。未だに探し求める人が多いのも、納得です。
同梱の解説書は、基本的にウエイト版を元にして、このオリジナルデッキの良さを前面に持ってきた感じがします。解説書でありながら、タロットの起源はどこだとか変遷はどうだったかなどにはほとんど触れず、カード画面について詳しすぎる解説をするでもなく、絵から見て分かることは絵に任せ、言葉少なくとも適確にキーワードを選ぶことで、利用者のインスピレーションを導くようになっています。また、他の解説書のように占い方を掲載するだけでなく、ゲームとして小アルカナを楽しむ方法も記載しているところが、心憎いです。カードが美麗であればあるほど、スートを並べただけの数札は使用頻度が下がりがちになりますものね。
以上の理由から、私、かなり後悔しています。「若かったからミーハーだと言われたくなかったんだけど、あの頃素直に清水女史のファンになっておけば、新品を初版で購入できたのになぁ…」と。また、それ以上の大きな気持ちも抱いています。「このデッキを落札して、良かったなぁ!」と。やはり、良いデッキは1つでも多く、利用者なり愛好家なりの手に渡るべきですよね。
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●トートのタロット(「タロット秘密占術」ダイジェストつき)著者:Aleister Crowley、Lady Frieda Harris、木星王 出版:魔女の家BOOKS 発行:1999年1月10日
以前入手したトート版の、80枚バージョンのデッキです。前回の購入で78枚バージョンだったことがショックで、半ば意地になって探し回り、ネットオークションで落札しました。幸い、日本語による解説書(の一部抜粋版)が付属されており、よりこのデッキを理解することができました。
一般的に「魔術的」と言われる由縁は、クロウリーが盛り込ませた意匠や、彼独自のカードの命名法などだったんですね。理解が少しでもできるようになると、「禍々しい」といった印象が薄れ、極端に象徴を絞り込んだ絵柄という印象に変わりました。例えるならば、仏像でしょうか。ウエイト版やそれに基づくデッキは、優美で細部まで丁寧に彫り込んだ観音像というイメージですが、トート版は丸木に一刀彫で最低限の特徴だけを刻んだ円空の仏像のようなイメージです。荒々しいのに、どこか繊細で、既存の枠から解放されようとしているような、そんな印象を私は抱きます。
悲しいかな、私は魔術に疎いため、これらの印象すら日本語の解説書を読むまでは、具体的な言葉として抱くことができませんでした。それだけに、本来の解説書である「Book of THOTH(トートの書)」を和訳できたら良いのに、と思います。同書の日本語版は出版されているはずなんですけどねぇ。
ちなみに、80枚バージョンと78枚バージョンの違いは、「Magus(魔術師)」のカードが3枚か1枚かです。他のカードには変更などないので、占いに差し支えるようなこともありません。が、3枚の魔術師の違いも、ちゃんと調べてみたいものです。同梱の日本語解説書のダイジェストには、その辺りのことが書かれてなかったんですよ…。
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●鳳凰カード占術
著者:不詳 出版:KIRIN 発行:忘却(失敬)
これもネットオークションで落札した一品です。キリン社の烏龍茶「鳳凰」の販売促進キャンペーンで、抽選でプレゼントされた占いカードです。正確にはタロットではありませんから、解説書にも「カード占い」と書いてあります。
カードそのものは一種の御神籤のようになっており、それぞれ一言ずつ注意すべきことや訪れるであろう幸運などが記されています。面白いのは占い方で、専用の敷布の上に4個所に分けて、独特な法則で決めた枚数ずつ配り、配置した場所ごとで占う運勢が決まるというのです。まるで、御神籤とタロットのスプレッドを足したような占い方だと、興味深く思います。
さらに興味深いのは、この御神籤っぽいカード46枚と特別カード(特別な幸運と凶運を示すカード)4枚には、セピアトーンの写真がそれぞれ印刷されており、神託文章も解説書の文章も大正ロマンを感じさせるような古風な言葉遣いになっているところです。「しましょう」が「しませう」と書かれている辺り、「今の若い子には読めんだろう」と思いつつ、独特な味わいを感じてしまいます。
以上のことから、ユニークさがちょっと気に入ったので、厳密に言えばタロットではありませんがここに掲載することにしました。
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●愛のタロット占い
著者:美堀真利 出版:日本文芸社 発行:昭和63年7月20日 ISBN4-537-01319-2
ネットオークションで落札した、昭和末期、バブル景気の頃のデッキです。美堀女史の別著「運命が見えるタロット占い」を、私はかなり気に入っていますし、このデッキもオークション画面で紹介されているサンプル画像が気に入りましたので、何度も挑戦して落札しました。
大アルカナのみの22枚の構成で、色鮮やか、女性好みの柔らかなタッチの、好いデッキだと思います。カードの順番は著者独自の解釈から変更されていますが、意味そのものはウエイト版に近く、いきなり持ち替えたとしても困惑することはないと思われます。むしろ、質感のある絵柄に触発されて、いい占断ができるかもしれません。各カードに描かれている人物は、それぞれギリシャ神話に登場する神や人とされていますが、それを知らなくても占いには困らないと思われますし。
ただ…。
良くも悪くも、バブル景気時代のデッキだなぁ、と思います。
当時は、猫も杓子も景気が良くて、子供のお年玉すら数十万という額になっていましたし、出版物も「出せば売れる」といった具合でした。また、世紀末に突入したばかりで、オカルティックな事物に対しても盲目的に信者が集まり、占い関係においても「心霊」とか「神秘」といった一種のベールを着せたほうが、人気が高まっていく傾向がありました。
このデッキに添付されている解説書も、そうした特徴をすべて網羅しています。著者は霊感があることを公言し、タロットがそれを導き出す道具であるとも記されています。実際には、多くの人に共通したイメージからキーワードを連想するものであるに過ぎないと私は考えるのですが、それがさも心霊的な作用であるかのように記されています。きっと、そうした言葉を並べるほうが、当時は「売れる」とされたんでしょうね。その証拠に、平成になってから出版された前述の別著には、霊感だとか超能力だとかいった要素はまるで書かれていません。
多少オカルトを意識していることを除けば、美麗で独特な雰囲気を持つデッキとして愛用できる、と私は思います。
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●タロット占い
著者:アレクサンドリア木星王 出版:西東社 発行:1990年12月20日 ISBN4-7916-0607-8
この書籍も、バブル景気時代の初めの頃に出版されました。が、カードを見ても、解説書を読んでも、景気の良さより、20世紀末の人々の漠然とした期待や不安を感じさせます。このレビューを書いている2004年11月現在に発行されたとしても、多分、購入して熟読する人は少ないだろうと思います。それぐらい、解説書の冒頭(というより前半)には、タロットの歴史や伝統、魔術に関する1990年以降の見通しなどが、丁寧かつより好奇心を擽るような文章で記されています。事実、著者はこの書籍の販売以前から、タロットのみならず魔術全般に傾倒していき、現在もサタニズムを含めた魔術に携わっています。
デッキとしては、大アルカナのみの22枚+タイトルカード(占いにおいては依頼者を象徴するカードとして使用)という構成です。紙質は、厚めのプラスチックコーティングされた、じつにしっかりした物になっていて、長く使われることを想定してあります。また、基本的にはウエイト版に基づいていますが、描かれている人物のほとんどがバストアップというレイアウトになっていて、背景は暗めのグラデーションなどに留まり、寓意的なウエイト版よりもシンプルで、より未知数の多い宇宙を感じさせる絵になっています。各カードの持つ神秘的な印象を受け入れ、魔術というものに興味を持ち、神話や宇宙の遥か彼方に対して漠然と夢を描ける人ならば、好んで愛用できるかもしれません。
アレクサンドリア木星王氏の著書の先駆けは、このページの冒頭にある「TAROT Book & Cards」という、ウエイト版に忠実なデッキであり、カードに隠された象徴や意匠を懇切丁寧に解説した書籍でした。私個人は、これ以上にウエイト版を詳細まで研究した書籍は無いだろうと、今でも思っています。
10年後、氏は上記の「タロット占い」を出版しました。この頃の氏は、神戸に「魔女の家」を開設したり、海外の魔術や神秘学を研究している人々と意見を交換し合ったりと、オカルト方面に傾倒していったみたいです。タロットの解説書には魔術に対する氏の憧れを感じさせる文章が並び、デッキそのものにはウエイト版から飛躍しようという試みが見受けられます。
さらに10年後には、「秘密のタロット・カード」を出版されていて、「タロット占い」で取り入れた、宇宙を連想させるグラデーションの背景や、魔術に関する要素を詰め込み、ウエイト版の気配をカード画面からかなり削ぎ落としています。そして、ネイティブ・アメリカンの気配を加えて、独自のスタンスを取っています。
これらの変化は、多くの人には不愉快かもしれませんが、日本の世情を反映している気がします。
1980年代に海外からの文化を取り入れて詳細まで理解しようとし、1990年代には世紀末思想や次世紀への期待が手伝って神秘的な雰囲気を醸し、無事にミレニアムを乗り越えてしまってからは地球温暖化などの問題意識の影響なのか大自然に対する敬意とか畏怖を取り入れています。
新世紀になって鏡リュウジ氏など若手占師が頭角を顕し、気軽に楽しめる占いやおまじないを世間に広めています。彼らと比べると、木星王氏は心の暗い部分にまで踏み込む魔術を重視し、興味半分で神秘的な事柄に携わろうとする若者を突き放すような雰囲気を、書籍やデッキにも纏わせている気がします。一読者としては、どちらにも善悪をつけることはできませんが、各時代の背景や人の心の在り方を垣間見る思いがしています。
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●神秘のタロット占い
著者:チエ・エリナ 出版:日本文芸社 発行:平成元年12月25日 ISBN4-537-01440-7
2004年の半ば、Yahoo!オークションで落札したデッキの1つです。多分、まだ書店で注文しても入手できるとは思いますが、果たして日本文芸社にこのデッキの在庫を残し、今でも売り込む気概があるかどうか、分かりません。何しろ、まず書籍名がありきたりすぎていて、他の出版社の書籍と間違われやすそうだと思います。次に箱の裏書の言葉が小さな文字で書かれていて、せっかくの力作を売り込む気迫が足りない印象を受けました。とどめに、不完全なデッキであることが残念でなりません。
このデッキを監修したチエ・エリナ女史は、自己紹介文などで多少「霊感」という言葉を使われてはいますが、タロットについては相当真剣に勉強されたようで、さまざまな系統のデッキの良い部分を吸収し、花言葉をさらに組み込むことで、一本筋の通った入門書を同梱されています。タロットの起源を決めつけず、素直に「はっきりとは分かりません」と述べていらっしゃいますし、読者層が初心者であることを想定しておられたのでしょう、各カードの特徴を漏らさず書き記し、占いにおいて見落とすべきではない部分をきっちり説明されています。その各カードの特徴を、作画担当者である青木宜人氏は見事に描き上げておられます。多分、お二方の間では、綿密に打ち合わせが行われ、カードの画面を「単なるイラスト」的な軽いものではなく、「立体感のある絵画」にまで昇華されたのだと思います。それなのに、「女教皇」と「女帝」のカードの絵が入れ替わってしまっていることが、非常に残念でなりません。
「フリージアの花と開いた本を膝に乗せ、冠を被って椅子に座っている聡明な女性」と説明されている「女教皇」のカードの絵は、「ふくよかで女性的な魅力に溢れ、両手にカトレアの花束を抱えた、妊娠中の女性」と説明されている「女帝」そのものになっているのです。当然、「女帝」のカードには「女教皇」の説明に当て嵌まる絵になっています。この入れ替わりは、初心者向けに丁寧に製作されたデッキとしては、致命的なミスです。邪推ですが、監修担当の女史と作画担当者氏の間ほどには、書籍出版社の担当者は詳細に至るまで打ち合わせず、印刷前の校正などの出版までの行程において、両氏にチェックしてもらわなかったのではないでしょうか。無論、女史のしたためた文章を読むこともなく、タロットについて知識の少ない方が担当していた可能性も高いと思います。
大アルカナ22枚のみの構成であり、彩りも鮮やかで、立体感もある絵画は美しく、コーティングも充分施され、初心者が何度も何度も繰り返し用いることにも耐えられるほど、紙質は良いです。盛り込まれた花言葉についてもしっかり解説されていて、占い好きな女性にはたまらない魅力的なデッキです。しかも、多くの入門書が初心者には手に負えないほどたくさんの展開法を紹介しているにもかかわらず、この書籍ではヘキサグラム展開法とケルト十字展開法しか紹介していません。その代わり、ケルト十字展開法を用いた占いの解釈例を豊富に掲載し、カードの解釈の仕方を極力解りやすく紹介されています。そのため、デッキにも解説書にも、宗教や魔術などを感じさせることなく、明るく、華やかで、健康的な印象に満ちています。それだけに、前述のカードの入れ替わりが勿体無くて、勿体無くて……。
できることなら、日本文芸社にてもう一度、カードの絵を正しくしたこの書籍を再版し、書店の棚に並べてほしいものです。
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●一条ゆかりのTARROT CARD
著者:一条ゆかり 出版:株式会社アントレックス 発行:2004年
このデッキは、上記のオークションで入手したデッキと同じ頃(2004年の夏ぐらい)に、サイトへお越しくださった方から教えていただき、購入しました。なんと、コンビニ「ファミリーマート」の企画「ふぁみまコンテンツ」のカタログブックの一つです。だから、既存の書店販売ルートには必ず明記されている発行日と刷版、ISBNが記載されていません。それどころか、あくまでも「少女漫画家・一条ゆかり女史が描いた22枚の大アルカナのカード」が商品のメインであり、解説書は僅かな蘊蓄とカードの意味、伝統的な展開法2種類(ケルト十字法とヘキサグラム法)を簡単に紹介しているだけの、「カードの付属品」的な形で同梱されています。
このデッキ、カードも解説書も、物凄く潔いんですよ。
前述のとおり、解説書には長たらしい見識は記されていません。起源については「諸説あって不明です」と書き、推論はバッサリと切り捨てられています。占いをする時の手順(深呼吸と意識の集中からカードを並べるまでのやり方)こそ丁寧に説明されていますが、そこにはタロットの神秘性や魔力といったオカルティックな要素は無く、真剣に占いをするための心得が書かれています。カードの説明についても、「絵のどの部分を注視しましょう」といった文章は無く、リーディングのためのキーワードや関連する星座・惑星が記載されているのみです。展開法についても同様で、並べ方の図説と配置場所の意味は記載されていますが、リーディングサンプルなどは無く、初心者にとっては「監修者に突き放されてしまってる」ような感覚を覚えるかもしれません。
メインであるカードのほうも、とても思い切りが良い印象を受けました。女史の描かれた漫画作品を私はまったく拝見したことがありませんが、女性らしい柔らかな線描で緻密な文様に至るまでを描き込まれていて、長く漫画家生活を続けてこられた自信や熱意を感じます。しかも、どのカードも女史なりに解釈されていて、不要と判断されたものは一切描かれていません。人物だけで表現できると判断されたカードは、背景が真っ白の空間に、緻密に描き込まれた人物だけが存在しています。自己の内面を振り返ることを示すカードには静かに佇む人物を、積極的に行動することを勧めるカードには躍動感のある青年を、それぞれ丁寧に描いてあります。デッキ全体にエスニックな雰囲気があるというか、アジア西部やアラビア方面の民族を連想させる衣装やアクセサリーが華やかさを演出していて、女性好みの絵柄に仕上がっています。紙質も悪くなくて、さらに良い印象を受けます。
こんなインパクトのあるデッキが、コンビニで買える世の中になっちゃったんですね。大陸書房の箱入りのデッキと分厚い解説書のセット(アレクサンドリア木星王著「TAROT Book & Cards」)を、書店のカウンターでドキドキしながら注文した頃と比べると、タロットそのものが広く世間に知られてきたということなんでしょうか。
それにしても、この書籍、「TAROT」ではなく「TARROT」となっているのが、ちょっと気になるのは私だけでしょうか…?
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●聖伝ルナ・タロット占術
著者:小泉茉莉花 出版:Gakken 発行:2004年2月4日第2刷 ISBN4-05-401213-2
改訂版、となっています。どう改訂されているかは、初版を知りませんので分かりません。
この書籍、一応「タロット」という文字が入っていますが、広く知られている「大アルカナ22枚、小アルカナ56枚」という形式のものではありません。根本的に異なるもので、著者によると「ロマ(ジプシー)の女性が使っていた独特な、月にちなんだ占いカード」とのことですが、他に類似したデッキを店頭では見かけませんし、私はあらゆる占いを研究している身でもありませんから、真実か否かは判断できません。が、女性に向いているデッキだとは思います。月齢ごとに異なる月が描かれている28枚のカードは、一人の男性の生き様を描いた物語の一コマにもなっています。中には「どこに月があるの?」と言いたくなるカードもありますが、必ず何らかの形で月が背景に描かれており、登場人物や象徴的な物はその手前に大きく描かれています。また、「死神」などの不気味な名称を持つカードはありませんが、「毒」などのカードが補填しているようです。しかし、「宝石」というカードには本当に「宝石」しか描かれていなくて、絵からインスピレーションを働かせることができるようになるには、解説書に記されている「一人の男性の生き様を描いた物語」だけでも読破し、そのカードが物語においてどんな役割を果たした物を描いているか、理解する必要があります。これらを踏まえておけば、恋愛問題などを占う人には、オーソドックスなタロットとは違う刺激を感じることができると思います。
蛇足ですが、私個人の感想を追記しておきます。
疲れました、解説書の読破で…。カードそのものはセピア色の枠や背景色が、鮮やかな色を使って描かれた人物や象徴を引き立てていますし、大好きな月にちなんだデッキということもあり、手触りも好いですし、紙質も良いほうですし、「このデッキを使えたら楽しいだろうなぁ」と思いつつ、解説書を開きました。が、上記にあるように、「ロマの女性達が用いていた」と述べられている辺りから、「?」が飛び交い、読み進むにつれて増えていきました。参考文献こそ巻末にありますが、手元に無ければ「参考」にできないわけで、それなら購入して読むべきでしょうが、そこまで深く研究している身でもないわけで